『アサシン クリード シャドウズ』(英: Assassin's Creed SHADOWS)は、ユービーアイソフトより2025年3月20日発売のオープンワールドアクションRPGである。アサシン クリードシリーズのメインシリーズ14作目の作品で、2023年に発売された『アサシン クリード ミラージュ』の続編。
概要
強力な力を秘めた超古代文明の遺物を巡り、紀元前から各国で争い続ける二大勢力の戦いを描くシリーズであり、本作では、織田信長が岐阜城から安土城に移り天下統一まであと一歩の所まで迫っていた16世紀安土桃山時代の日本の、1579年から1584年を舞台とする(となっているが実際に両者でプレイできる期間は1582年の本能寺の変から山崎の戦いまでの11日間となっている)。
父を亡くした忍の藤林奈緒江と、信長に仕えたとされる黒人の弥助の二人からなるダブル主人公制。メインシリーズにおいて、弥助のような実在した人物が主人公になるのはシリーズ初となる。現地人である奈緒江、異国から来た弥助の二人が、対等でありながら異なる視点で共通の目的を追う。二人の主人公を都度切り替えることが可能で、対話での選択肢はそれぞれ異なり、ゲームのプレイスタイルも、ステルスタイプの奈緒江とファイトスタイルの弥助という風に特徴づけられている。
本編で描かれる風景は、「過去編」主人公の遺伝子情報を現代人が解析して作り出したVRであり、その映像を視聴している「現代編」が過去作同様に存在するが、今作では現代人はプレイアブルではなくムービーのみとなる。
本作には歴史探索が行えるディスカバリーモードの実装は予定されていない。
登場人物
裏刀衆(アサシン教団日ノ本支部に相当する組織)
- 藤林奈緒江(ふじばやし なおえ)
- 出演 - MASUMI(モーションキャプチャ・英語声優兼任)
- 声 - 島袋美由利 (日本版声優)
- 主人公の一人。女性。伊賀者の忍のアサシン。父は第一次天正伊賀の乱で戦死した藤林長門守。アサシン教団に伝わる「アサシンブレード」を父から渡され、フードで顔を隠し影に潜んで敵を倒すステルス戦闘を得意とする、イーグルビジョンを使用可能、などシリーズの伝統的な主人公像を担っている。「シリーズ最強のアサシン」として制作されている。屈み歩きだけでなく、よりステルス性能の高い匍匐前進がシリーズで初めて可能。手裏剣やクナイを用いて暗殺し、鎖鎌による広範囲な攻撃も可能。当初はアサシン教団のことは知らず、実戦経験もなく伊賀の奥地で修行を重ねつつも平和に暮らしていた。織田信長の伊賀攻めにより故郷を滅ぼされた恐怖を抱いている。時同じくして、仮面で顔を隠した謎の組織「百鬼衆」に襲われ父を殺害され自身も重傷を負い、正体不明の彼らを復讐のために追う。優しい性格だが、直情的な面もある。
- 弥助(やすけ)
- 声 - 帆世雄一
- 主人公の一人。男性。侍の修業を終えたアフリカ出身の元奴隷。日本人ではないアウトサイダーの視点から日本を見る。逞しい体つきで、ある程度のステルスも可能であるが肉弾戦を得意とし、高所を身軽に乗り越えることはできないが、扉を破壊して侵入などが可能。刀、金棒、弓、火縄銃などを武器にパワフルに戦う。その分隠密は苦手であり、建物の上を素早く移動することは出来ず、シリーズの伝統である高所から鷲のような姿勢で飛び降りて藁の山などに着地する「イーグルダイブ」をすると、着地の際に尻餅をつく。
- かつての名はディオゴ。奴隷商人でテンプル騎士団のヌーノ・カロとデュアルテ・デ・メロが乗る船に母と共に奴隷としてどこかの場所に売られる予定だったが、ある雨が降る日の夜に母が見てはいけないものを見てしまったために射殺され、彼も殺されかけたところに名も無きアサシンに助けられ海に飛び込む。漂流中にヴァリニャーノとルイス・フロイスが乗る船に救助されイエズス会の船に奴隷として乗り込んでいた。来日後、織田信長に気に入られ部下となり弥助と名付けられ、上泉信綱に師事し剣術を学んだ。主君である織田信長を死に追いやった組織を探し、戦地を巡っている。弥助の名は少年の父親から拝借したものとなっている。
- 宗元(そうげん)
- 山奥の槇尾寺に隠棲していた高齢の僧侶。百鬼衆に襲われ瀕死の奈緒江を保護し治癒した。奈緒江の復讐心を咎め諭していたが、やがて理解を示し、山を降りて「隠れ家」にて奈緒江に助力する。
- 順次郎(じゅんじろう)
- 声 - 小市真琴
- 宗元に拾われた戦災孤児の男児。奈緒江が寝たきりであった時期に治療を手伝い、「隠れ家」にて奈緒江に助力する。一瞬見ただけのものでも正確に覚える記憶力と卓越した画力を持ち、奈緒江にも絵の描き方を教えた。
- 源之丞(げんのじょう)
- 声 - 新田真剣佑
- とみ
- 奈緒江と弥助の協力者らが住まう「隠れ家」を提供する女性。農婦であったが、戦により夫を殺され農地を焼かれた過去を持ち、権力者たる武士への嫌悪を持つ。
伊賀の里
- 藤林正保(ふじばやし まさやす)
- 声 - 田村真
- 藤林奈緒江の父で、武術の師でもある。奈緒江のアサシンブレードの本来の持ち主。伊賀攻めの際に奈緒江にアサシンブレードを託し、また古墳に隠された「箱」をも託した。奈緒江の目の前で百鬼衆に殺された。
- 百地三太夫(ももち さんだゆう)
- 伊賀の忍の長。奈緒江(正保)が持つものとは別のアサシンブレードの持ち主。
- 第二次伊賀の乱にて弥助との一騎討ちに敗れ、今際の際にもう一つのアサシンブレードを持つ娘を探すように伝える。
織田家
- 織田信長(おだ のぶなが)
- 声 - 玉木宏
- 森蘭丸(もり らんまる)
- 織田信雄(おだ のぶかつ)
- 信長の次男。織田が伊賀に攻め入ることになる原因を作った。
- 羽柴秀吉(はしば ひでよし)
- 織田五大将の一人。本能寺の変を聞き毛利家と和睦を結び京に戻ってきた。
- ねね
- 秀吉の正室。上泉信綱と共に弥助の教育係として関わる。
- 丹羽長秀(にわ ながひで)
- 声 - てらそままさき
- 織田五大将の一人。
- お市の方
- 声 - 早見沙織
- 信長の妹。柴田勝家に嫁ぐが弥助とのロマンスがある。
- 茶々、初、江
- お市の方の娘達。父は浅井長政、継父は柴田勝家。
百鬼衆(テンプル騎士団日ノ本支部に相当する組織)
- 般若/足利義昭(あしかが よしあき)
- 声 - 櫻井孝宏
- 百鬼衆の長として、般若の面で顔を隠し登場。 かつて存在していた室町幕府の第十五代将軍。
- 史実において義昭は二度の伊賀の乱の時期には安芸毛利家の元に身を寄せている。
- 二面/明智光秀(あけち みつひで)
- 声 - 森川智之
- 織田五大将の一人で本作では本能寺の変の首謀者となっている。
- 奈緒江が探し求めている百鬼衆の長が信長であるという嘘の情報を伝え、本能寺の変を利用して信長を殺させようとしていた。正体は百鬼衆の一人。
- 井戸良弘(いど よしひろ)
- 仮面で素性を隠した怪力の武者として登場。奈緒江が父から受け継いだ「箱」を奪い取り、その際に奈緒江の顔面を金棒で殴り傷跡を残した。交野城にて奈緒江に討たれる。
- 史実において井戸は『井戸氏系図』では1611年、『寛永諸家系図伝』『寛政重修諸家譜』では1612年まで存命している。
テンプル騎士団
- ヌーノ・カロ
- 声 - 大塚明夫
- 弥助編のラスボス。ポルトガル人の奴隷商人でテンプル騎士団の一人。
- デュアルテ・デ・メロ
- ポルトガル人の奴隷商人でテンプル騎士団の一人。弥助の母を殺した男。
その他
- アレッサンドロ・ヴァリニャーノ
- イエズス会の宣教師。日本でキリスト教を布教するために来日。弥助の元主人。
- ルイス・フロイス
- 声 - 平川大輔
- イエズス会の宣教師。弥助やヴァリニャーノらと共に織田信長に謁見した。
- 上泉信綱(かみいずみ のぶつな)
- 剣聖と讃えられる剣豪の一人で新陰流の開祖。弥助の師。
- 丸目長恵(まるめ ながよし)
- 上泉の弟子の一人で後のタイ捨流の開祖。
- 宝蔵院胤栄(ほうぞういん いんえい)
- 宝蔵院流槍術の開祖だが本作では金棒を持っている。
- 服部半蔵(はっとり はんぞう)
- 徳川家康に仕える武将。本名は服部正成。伊賀出身で正保とは旧知の仲にある。
- 史実において伊賀出身の半蔵は正成の父であり、正成は三河出身で徳川家に仕える武士である。
- 隈部氏家(くまべ うじいえ)
- 声 - 岩中睦樹
- 今井宗久(いまい そうきゅう)
- 声 - 大塚芳忠
- 堺の商人。
- つゆ
- 奈緒江の母。三太夫と正保によると彼女もまたアサシンであり、死んだとされている。
開発・機能
開発スタジオはユービーアイソフト ケベック(シリーズ過去作では『自由の叫び』『シンジケート』『オデッセイ』と同じ)がメインを務める。
本作の開発には最新のAnvil Engineを使用しており、これまでのシリーズでは無かった新たなシステムが採用されている。Anvilでは初となるレイトレーシングを採用したことで、太陽の向きや照明の位置によって明るさや影が変化するなど、リアリティが向上している。また、日本の四季を表現するため、ゲーム内での季節の変化が取り入れられており、同じ場所でも季節によって風景が変化するほか、夏場は池に潜って潜入し、冬は凍った池に積もる雪に身をひそめるなど、ゲームプレイにも影響する。破壊システムも一新されており、切る方向に柵や樹木が切り倒され、武器の種類によっても破壊のされ方が異なる。
前作『アサシン クリード ミラージュ』に引き続き、舞台となった時代の歴史、人物、芸術、文化を紹介する「辞典」が搭載される。イベントの進行や、歴史的な場所を訪れることで辞典の内容がアンロックされる。辞典に掲載される量は、『ミラージュ』の2倍以上となる。この辞典に掲載するため、UBIはスペインの国家遺産管理室Patrimonio Nacional、美術保存会社Factum Arteと協力し、マドリード王立武器庫に納められている日本製の兜復元プロジェクトを行った。この兜は1584年に天正遣欧少年使節がスペイン国王フェリペ2世に贈ったもので、1884年7月10日に王立武器庫の火災で損傷していたが、復元プロジェクトにより元の姿のレプリカが作られ、「辞典」中で閲覧できる。レプリカは王立武器庫のコレクションの一部となり、施設の改修工事が終わる2025年夏にオリジナルと並べて展示される予定。
表現規制
後述する神社での破壊表現による炎上などから発売初日のアップデートで神社での破壊表現と一般人に対する流血表現が削除されている。日本語版ではこれに加えて一切の切断表現が無効化されているが、Xbox Series X/S版では表現規制を回避できる方法が存在する。
発売経緯
発表前
2010年、シリーズ生みの親パトリス・デジーレは、日本を舞台にする予定は無いと述べていた。その理由としてデジーレは「忍者のアサシンクリード」を期待する声は大きいが、知り合いの日本人から「やめたほうがいい」「日本人は外国人に理解できない世界観を持っている」などと言われたためとしている。なお、デジーレはその後UBIを退社しており、本作に関与していない。
2012年、『アサシン クリード III』が発売され、オープニングムービーの中で、古代エジプトの象徴である「ホルスの目」、ギリシャ文字の「オメガ」、そして日本の「鳥居」の3つの記号が登場するシーンがあった。当時まだエジプト・ギリシャ・日本を舞台にする予定はなかったが、リクエストが多く「いつかそこに行くだろう」とほのめかしで登場させた。後にエジプトは2017年の『アサシン クリード オリジンズ』で、ギリシャは2018年の『アサシン クリード オデッセイ』で舞台となった。これらと並行して、スピンオフ作品などで日本のアサシンが登場していた。
発表から発売
2022年9月11日、UBIは、日本が舞台の新作『コードネーム Red』(仮称)が開発中であることを発表した。
2024年5月16日、『コードネーム Red』の正式タイトルが『シャドウズ』に決定したことを発表し、トレーラーなどを順次公開した。一方、この頃から後述の批判が始まった。
9月24日、UBIは「東京ゲームショウ2024」の公式番組への出展を取りやめると発表した。
9月26日、「体験の磨き上げにさらなる時間」が必要であるとの理由から11月15日に予定されていた発売日が、2025年2月14日に延期されることが発表された。同時に、2019年以降はEpic Games StoreとUbisoft Storeで専売となっていたUBIの新作だが、本作以降はSteamへ回帰することも発表された。延期に伴い、上位エディションに付属していた先行アクセス権及びシーズンパスがキャンセルされ、併せて価格の値下げが行われた。
2025年1月10日、ユーザーからのフィードバックを反映させるためとの理由で、発売日を3月20日へと再度延期することが発表された。
発売前日の3月19日、これまでのシリーズにもあった「非武装の民間人を襲って流血させられる」「現存する歴史的建築物内でオブジェクトを破壊できる」という仕組みへ日本国内では後述の「論争」の中で差別的・冒涜的だと批判が集まり、発売後のアップデートによって民間人の流血をなくす、壊せるオブジェクトを減らすといった措置を取ると発表された。
論争
黒人主人公への批判
日本を舞台にした作品でありながら、主人公のひとりに日本人男性ではなく黒人男性である弥助を起用したことには、ユーザーから疑問が呈された。しかし、そうした批判に対してもまた、人種差別的であるとの批判がなされた。
実業家のイーロン・マスクもこの件に反応し、SNSのXに「Diversity, Equity & Inclusion(多様性、公平性、包括性)」を意味する「DEI」という略語を用いて、「DEIは芸術を殺す(DEI kills art)」とポストした。このマスクのポストは、作品のエグゼクティブ・プロデューサーから「憎しみを煽っているだけだ」と非難されている。
2024年6月、一連の炎上に際してUBIのCEOであるイヴ・ギユモは、「悪意のある個人的なオンライン攻撃」を非難するとともに、「私が今懸念していることの一つは、当社のチームメンバーやパートナーの一部に向けられた悪意のある個人的オンライン攻撃です」、「ユービーアイソフトは、これらの憎悪行為を可能な限り強い言葉で非難することを明らかにしたいと思います。業界の他の人たちやプレイヤーにも、同様に非難するよう呼びかけます」と発言している。
10月、UBIのマネタイズディレクターであるスティービー・シャサードが自身のLinkedInにおいて、このような抗議をしてくる者は「まともな人間ではない」と非難した。
11月、本作のエグゼクティブプロデューサーの Marc-Alexis Côté は「不寛容からくる攻撃」や、スタジオや、この特定のゲームが「現代の思惑によって動かされている」という考えを否定した。
著作物の無断使用
公開されたコンセプトアートに、2018年に結成されたボランティア団体「関ヶ原古戦場おもてなし連合・関ヶ原鉄砲隊」の旗の画像が含まれており、このアートは「コレクターズエディション」として発売される商品に付属するアートブックにも使用される予定となっていた。団体の関係者からの問い合わせを受けたUBIは問題のアートを公式サイトから削除し、団体に謝罪したことを報告した上で、当該のアートはアートブックへの収録を除き、以降は新たな使用や配布を行わないとした。関ヶ原鉄砲隊はアートブック収録分も含め削除するよう要請を受け、2024年10月21日に関ヶ原鉄砲隊は「コンセプトアート内の旗のデザインを削除することが決まった」と表明、後は現物を確認するだけとしているものの、問題は一応の解決を見た。ゲーム本編のスタッフクレジットで、スペシャルサンクスとして関ケ原鉄砲隊が載せられた。
宗教への侮辱的表現
東大寺の金銅八角燈籠と射楯兵主神社を許諾のないままゲーム中で使用していると判明している。産経新聞によると前者については東大寺側に取材したところ2024年10月時点でUBIと協議をしていることを認めている。なお、2025年2月時点で同意が取れたかどうかはさだかではないと報じている。後者については射楯兵主神社の関係者は取材に対して使用許可の連絡は来ておらず仮に連絡があったとしても許可しなかったとして、然るべき対応を進めると答えている。また、神社本庁が対応に乗り出したというSNS上の噂について、神社本庁は否定している。作中では寺社の前で礼拝するとバフ効果がある一方、施設内を破壊することもでき、破壊のシーンがSNS上で広まり、「日本文化への蔑みがひどい」「神道を侮辱している」「無神経だ」などの反応があった。
アメリカのゲームニュースサイトGames Radar は、「自分達にとって意味のある場所が娯楽の名の下に冒涜されていると感じる気持ちは分かる」と日本人の心情に共感を示しつつも、ヨーロッパの宗教もまた、シリーズで友好的に描かれたことは稀であると指摘。シリーズでは実在する宗教施設は長年に渡りよく登場し、その破壊も可能であり、『アサシン クリード オリジンズ』においては主人公がファラオの墳墓から盗掘し、『アサシン クリード ヴァルハラ』ではヴァイキングである主人公がキリスト教教会を略奪・放火し、更には『アサシン クリード II』ではラスボスがローマ教皇のロドリゴ・ボルジアであるなど宗教侮辱にあたる描写は数多くあったが、過去作においては宗教関係者からの公式な抗議は上がっていない。
国会での取り扱い
3月19日、参院予算委員会でゲーム内で弥助が実在する神社の祭壇などを壊す映像が動画配信サイトで公開されたことについて自民党の加田裕之参議院議員から質疑応答が行われた。石破茂首相は、「その国の文化や宗教に尊敬の念を持つのは当然で、そうでない行為があったら許さない、と発信することは重要だ」と答えた。「法的にどうするかは経産省、文部科学省、外務省と協議したい」と述べた後、「神社に落書きするのはもってのほか。その国に対する侮辱にほかならない」と強調し、自衛隊をイラク・サマワに出すとき、イスラム教のしきたりを習得して行くようにお願いした。その国の文化や宗教に尊敬の念を持つのは当然で、そうでない行為があったら泣き寝入りはしない、許さないと発信することは重要だと思う」と答えた。
その他の日本での反応
2024年6月19日、オンライン署名サイトChange.orgにて「アサシンクリードシャドウズの発売中止を求めます」とするインターネット署名運動が開始され、7月24日までに9万を超える賛同を得た。
8月20日、横浜商科大学の教授である田中辰雄が本騒動をもとにウェブモニターを使用したアンケートを実施した。アンケートに回答した人のうち、騒動を知っている者は3割、知らない者は7割となり、騒動を知っている者の中でもこの発売中止(同論文ではキャンセルカルチャー)に賛同する人は33.4%となり、発売中止署名に賛同しない人は48%、わからないと答えた人は18%となった。
田中はこの騒動の背景には海外におけるポリティカル・コレクトネスへの警戒感があると指摘し、「今回のキャンセルカルチャーは、いわば、押し寄せるポリコレの正義に対する日本の防衛反応」と分析している。田中はポリコレへの警戒には同意しつつも、「正義のぶつかり合いは分断を産む」と指摘し、「日本のゲーム開発会社がつくるゲームも外国の史実を無視している。ゲームはそもそもフィクションで自由な創作であるべきであり、史実との一致を気にする必要はない。日本人だけが史実との一致を外国に要求できるというのは日本人の傲慢ではないか」と主張している。
IGN Japanは作品レビューの中で、論争について「明らかに度を超えている」と指摘。「発売前の断片的な情報や不確かなソースをもとに、一方的な意見を事実として語ることは、誤解を広めるだけでなく、議論の質そのものを低下させていく。歴史や文化に関する解釈にはつねに複数の視点が存在し、専門家ですら意見が分かれることがある。 そうした背景をも無視し、ゲームの表現を「正しい・間違っている」とデジタルに語ることは、作品の本質を見誤る原因になりかねない」と述べた。
評価
発売初日、総プレイヤー数が100万人を突破し、2日目には200万人を突破した。ただし、サブスクリプンションによるプレイヤーもいるためイコール販売数ではない。Steamでは当日のセールスランキングで世界1位となった。Steam同時接続プレイヤー数は、発売から2日後の3月22日に47,616人を記録し、『アサシン クリード オリジンズ』を超えシリーズ歴代2位となった。
発売まもなくの各ストアでのプレイヤーによる評価は、PlayStation 5では星4.79/5、Xbox Seriesでは星4.5/5、Steamでは高評価81%で「非常に好評」となった。
批評家によるメタスコアは「82/100」で、「待望の日本舞台であること」や、ストーリー、キャラクター、景色の美しさが高評価された。一方で「退屈で単調」「ストーリーが説明不足」という低評価もあった。
IGN Japanは、8/10と評価。「オープンワールドの美しい環境表現や、引き込まれるストーリー、活きたキャラクターの実在感」を評価する一方、「従来シリーズにあったような大規模なサブ要素の不在、一部のシステム不備など、削ぎ落とされている部分」が多い点を批判した。
GameSpotは、奈緒江を使っての忍者としてのプレイと季節が移り変わるシステムを評価する一方、アサシンクリードらしからぬ弥助のプレイと冗長なストーリーを批判した。
脚注
注釈
出典
外部リンク
- 『アサシン クリード シャドウズ』 | Ubisoft (JP)