せんだい(ローマ字:JS Sendai, DE-232)は、海上自衛隊の護衛艦。あぶくま型護衛艦の4番艦。艦名は川内川に由来し、この名の日本艦艇としては、旧海軍の川内型軽巡洋艦「川内」に続き2代目にあたる。2022年12月に公表された防衛力整備計画で、2027年度までに除籍することが発表された。

本記事は、本艦の艦暦について主に取り扱っているため、性能や装備等の概要についてはあぶくま型護衛艦を参照されたい。

艦歴

「せんだい」は、中期防衛力整備計画に基づく昭和62年度計画1,900トン型乙型護衛艦1232号艦として、住友重機械工業浦賀工場で1989年4月14日に起工され、1990年1月26日に進水。同年10月16日に海上公試開始。1991年3月15日に就役し、佐世保地方隊第21護衛隊に編入された。

1991年6月20日、佐世保地方隊隷下に第39護衛隊が新編され、「おおよど」とともに編入された。

1997年3月24日、隊番号の改正により第39護衛隊が第26護衛隊に改称。

2008年3月25日から3月26日にかけて佐世保に寄港したタイ海軍練習艦隊ナレースワン級フリゲート「ナレースワン」、チャオプラヤー級フリゲート「サイブリ」に対しホストシップとして交歓した。

同年3月26日、自衛艦隊の大改編により第26護衛隊が第16護衛隊に改称され、護衛艦隊隷下に編成替え。

2011年3月16日、第16護衛隊が廃止となり、第12護衛隊に編入。定係港が佐世保から呉に転籍。

2015年12月、呉からジャパン マリンユナイテッド舞鶴事業所に回航、寒冷地改装。

2016年3月18日付、第14護衛隊に編入、定係港が呉から舞鶴に転籍。

2018年2月16日昼、第1航空群所属のP-3Cと共に、東シナ海の公海(上海の東約250 kmの沖合)で北朝鮮船籍のタンカー「Yu Jong 2号」が「闽宁德油078」(繁体字表記は「閩寧德油」(ビンネイトクユ)であり「福建 寧徳市 油槽船」を意味する)との表示がある船籍不明の船舶と接舷し、国連安保理決議で禁止されている「瀬取り」とみられる作業を行っていたことを確認した。なおこれは、対北朝鮮かつ艦艇による現認では自衛隊初であった。

同年6月29日昼、東シナ海の公海上(上海の南南東約350 kmの沖合)で北朝鮮船籍のタンカー「AN SAN 1(アンサン1)号」(IMO番号:7303803)が船籍不明の船舶と接舷し、国連安保理決議で禁止されている「瀬取り」とみられる作業を行っていたことを確認した。なお「AN SAN 1号」は、2018年3月に国連安保理北朝鮮制裁委員会から資産凍結・入港禁止の対象に指定された船舶だが、船名を「HOPE SEA(ホープ シー)号」に偽装していることも確認した。

同年12月7日6時30分頃、宮古島の北東約130 kmの海域を南東進する中国海軍のルーヤンII級駆逐艦1隻を発見した。同艦が沖縄本島と宮古島の間の海域を南東進し、太平洋へ抜けたことを確認するまでの間、第5航空群所属P-3C哨戒機と共に、所要の情報収集・警戒監視を行った。なお、同艦はその後引き返し、12月8日に沖縄本島と宮古島の間の海域を北西進して東シナ海へ抜けた。それまでの間、継続して所要の情報収集・警戒監視を行った。

2019年2月23日21時頃、上対馬の東北東約110 kmの海域において、同海域を南西進する中国海軍のルーヤンIII級駆逐艦1隻、ジャンカイII級フリゲート2隻を確認した。これらの艦艇が対馬海峡を南下した後、東シナ海に抜けたことを確認するまでの間、所要の情報収集・警戒監視を行った。

同年8月23日~8月27日、親善のため舞鶴に寄港したカナダ海軍ハリファックス級フリゲート「オタワ」に対しホストシップとして交歓した。

同年11月13日未明、東シナ海の公海上(上海の東約280 kmの沖合)で北朝鮮船籍のタンカー「MU BONG 1(ムボン1)号」(IMO番号:8610461)が船籍不明の船舶と接舷し、国連安保理決議で禁止されている「瀬取り」とみられる作業を行っていたことを確認した。また船籍不明の船舶が、船尾の船名記載箇所を何らかの物で覆っていることも確認した。

2020年6月17日深夜1時頃、沖縄本島の南東約80 kmの海域において、同海域を西進するロシア海軍のステレグシチーⅡ級フリゲート2隻を確認した。これらの艦艇が沖縄本島と宮古島との間の海域を北上した後、対馬海峡を北東進し、日本海へ向けて航行したことを確認するまでの間、海上自衛隊第13護衛隊所属「あさゆき」、第1航空群所属P-1哨戒機、第5航空群所属P-3C哨戒機と共に、所要の情報収集・警戒監視を行った。

2021年、低視認性塗装(ロービジビリティー Low-visibility 略してロービジとも)へ塗装変更。その内容としては、煙突頂部の汚れを目立たなくするための黒帯の廃止、艦番号及び艦名の灰色化かつ無影化、艦橋上の対空表示(航空機に対し艦番号下2桁を表示するための塗装)の消去。

同年11月23日14時頃、海上自衛隊は西表島の南約170 kmの海域において、同海域を北東進するロシア海軍キロ改級潜水艦2隻、ステレグシチーⅡ級フリゲート1隻、ドゥブナ級補給艦1隻及びイングル級救難えい船1隻の合計5隻を確認した。これらの艦艇が沖縄本島と宮古島との間の海域を北上した後、11月27日に対馬海峡を北東進し、日本海へ向けて航行したことを確認するまでの間、海上自衛隊第4航空群所属P-1哨戒機、第5航空群所属P-3C哨戒機、第12護衛隊所属「あぶくま」、第14護衛隊所属「せとぎり」、第46掃海隊所属「くろしま」並びに第3ミサイル艇隊所属「おおたか」などと共に、所要の情報収集・警戒監視を行った。

2022年1月31日に発生した、航空自衛隊飛行教導群(小松基地所在)のF-15DJ(32-8083号機)墜落事故に対し、同日夜に緊急出港して現地海面で捜索活動に従事。捜索には航空自衛隊のU-125A 救難捜索機、UH-60J 救難ヘリコプター、海上自衛隊のヘリ搭載護衛艦「ひゅうが」、ミサイル護衛艦「みょうこう」、ミサイル艇「うみたか」、潜水艦救難艦「ちはや」、掃海艇「うくしま」、水中処分母船1号型「YDT-01」、UP-3D 多用機、MCH-101 掃海・輸送ヘリコプター、SH-60K 哨戒ヘリコプター、海上保安庁の巡視船「はくさん」、巡視艇 「かがゆき」、巡視艇「あさぎり」、小松基地と陸上自衛隊金沢駐屯地からそれぞれ派出された地上捜索部隊も参加している。

同年4月24日深夜0時10分、知床遊覧船沈没事故に対する行方不明者等捜索(災害派遣)のため、寄港中であった大湊基地を出港、明けて25日の深夜2時42分、現場に到着し捜索を開始、以後4月28日まで捜索に従事した。

同年11月3日、11月5日の両日、令和4年度自衛隊国際観艦式フリートウィークで船橋東埠頭(千葉県)において艦艇一般公開を実施。11月6日の観艦式当日は祝賀航行部隊第8群の先導艦を務めた。

同年12月に公表された防衛力整備計画で、2027年度までに除籍することが発表された。

2024年1月1日以降、令和6年能登半島地震に対し災害派遣。能登半島周辺での被害状況偵察のほか、毛布、飲料水、粉ミルクなどを輸送。また、七尾市立中島小学校で炊き出しを実施。

同年9月13日、九州西方訓練海空域においてニュージーランド海軍補給艦「アオテアロア」と日新共同訓練を実施した。訓練項目は洋上補給訓練、PHOTOEX。

同年11月12日、若狭湾においてフランス海軍フリゲート「プレリアル」と日仏共同訓練(オグリ・ヴェルニー24-5)を実施した。訓練項目は戦術運動及び立入検査訓練。

現在は護衛艦隊第14護衛隊に所属し、定係港は舞鶴である。


歴代艦長

ギャラリー

脚注

参考文献

  • 石橋孝夫『海上自衛隊全艦船 1952-2002』(並木書房、2002年)
  • 『世界の艦船 増刊第66集 海上自衛隊全艦艇史』(海人社、2004年)
  • 『JShips2021年10月号』イカロス出版〈隔月刊JShips〉、2021年10月、14-17頁。JAN 4910151671010。 

外部リンク


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