Gears はGoogleの提供していたソフトウェアであり「Webブラウザに新機能を追加することで、より強力なWebアプリケーションを可能にする」ものである。以前は Google Gears という名称だった。BSDライセンスでリリースされていたFLOSSである。最終的に、機能の多くがHTML5に取り込まれる形となり、開発を終了した。
Gearsには以下のような主要なAPIコンポーネントがあった。
- Database モジュール(SQLiteを使用)。データをローカルに格納できる。
- WorkerPool モジュール。JavaScriptコードの並列実行を提供する。
- LocalServer モジュール。アプリケーションのリソース(HTML、JavaScript、画像など)をキャッシュし提供する。
- Desktop モジュール。Webアプリケーションがデスクトップとより自然にやり取りできるようにする。
- Geolocation モジュール。Webアプリケーションがユーザーの地理的位置を検出できるようにする。
バージョン履歴
サポート
いくつかのWebアプリケーションがGearsを使用していた。Gearsを使ったアプリケーションは各社から出ており、Google(Gmail、YouTube、Docs、Reader、Picasa for mobile、カレンダー)、MySpace (Mail Search)、Zoho (Writer, Mail)、Remember The Milk、Buxfer などがあった。WordPress 2.6 でもGearsサポートが追加され、管理インタフェースが性能向上し、サーバ負荷が軽減された。
GearsをサポートしていないWebサイトであっても、Gears開発者の1人がGreasemonkeyを使って作成したスクリプトを使うと、Gearsの機能を利用できた。
Gearsは、Windows XPおよびVista上のGoogle ChromeとIE 6 、Windows Mobile上のIE Mobile 4.01 、Mac OS X 10.4 上の Safari 3.1.1 でサポートされていた。また、複数プラットフォーム上のFirefox 1.5 でもサポートされていた。64ビット版はサードパーティーが限定的にサポートしているだけであった。
2008年5月29日、Opera ASAは新たなOpera Mobile 9.5でGearsをサポートすることを発表した。その技術プレビューリリースは2009年2月20日に行われたが、Windows Mobile 5/6を搭載したタッチスクリーン機器だけで利用可能であった。Gearsそのものはブラウザには組み込まれていないので、別途ダウンロードする必要があった。
Ruby on RailsフレームワークにはGearsとのインタフェースがサポートされており、Gears APIを理解していなくても利用できた。
バージョン0.5.16時点でのGearsはInternet Explorer 8に対応していたが、いくつかのIEの機能(アクセラレータプレビュー、Webスライスプレビュー、サイト候補)が正しく動作しなかった。
終焉
GoogleはHTML5でGearsの技術を取り込む活動をしてきた。同社は後にこの技術がHTML5で完全に実現されつつあると判断したため、Chrome 11を最後に開発は終了することとなった。Chrome 12を持ってこの機能は削除された。
関連項目
- HTML5
- Microsoft Silverlight
- Mozilla Prism
- リッチインターネットアプリケーション
- Adobe AIR
脚注
採用していたプロジェクト
- Remember The Milk
- Somethings (thn.gs)
- Buxfer
- Zoho Writer
- WordPress
- Passpack
- MindMeister
- MySpace.com
外部リンク
- Gears ホームページ - ウェイバックマシン (英語)