フェデラーvs.ナダルは、ロジャー・フェデラーとラファエル・ナダル2人のテニス選手の対戦記録である。2人は2000年代・2010年代の世界トップ選手として、テニス史上屈指のライバルとして何度も対戦している。
歴史
2004年: マイアミ
フェデラーとナダルの初対決は2004年の3月のマイアミ・マスターズ3回戦だった。ナダルは当時僅か17歳で世界ランキング34位だったが、世界ランキング1位のフェデラーをストレートで破ったことで驚かれた。
2005年: マイアミ・全仏オープン
次に両者が戦ったのは1年後の2005年マイアミ・マスターズだったが今回はベストオブ5セットマッチだった。フェデラーは0-2から逆転して5セットマッチで優勝した。
更に2か月後の全仏オープン準決勝ではナダルがフェデラーを4セット目で破り、全仏初出場19歳2日で初めてのグランドスラム初優勝を果たした。
2006年: ドバイ・モンテカルロ・ローマ・全仏オープン・ウィンブルドン・マスターズカップ
2006年にはナダルとフェデラーは6回対戦した。
ナダルは2月に行われるハードコートのドバイの決勝から4回勝利した。これはフェデラーのこの年初めての敗北であるとともに、オープン化以降の最高記録である彼のハードコートでの56連勝の記録を止められた試合でもある。
クレーシーズンは引き続いてナダルが勝ち続け、フェデラーをモンテカルロ・ローマ・全仏オープン決勝で破った。全仏オープンは両者が初めてグランドスラムの決勝を戦って試合でもあった。フェデラーはすぐ第1セットを取ったが、ナダルが続く3セットを奪い、大会2連覇を達成した。
1か月後のウィンブルドン決勝では両者は初めて芝のコートで対戦し、フェデラーが4セットで勝利し、ウィンブルドン4連覇を達成した。
2006年テニスマスターズカップではフェデラーがストレートで勝利し、4年間で3度目のマスターズ・カップでも優勝を果たした。この年のナダル対フェデラーの対戦成績は6–3に上昇した。
2007年: モンテカルロ・ハンブルク・全仏オープン・ウィンブルドン・マスターズカップ
ナダルとフェデラーは2007年に5回戦い、フェデラーが3勝した。
フェデラーとナダルは3回クレーで戦い、ナダルは最初の試合をストレートで勝利し、モンテカルロ3連覇を果たした。ハンブルク・マスターズでは、フェデラーは初めてナダルをクレーで破りナダルのクレーコートでの連勝記録を81でストップさせた。
全仏オープン決勝ではナダルは4セットでフェデラーを下し3連覇を果たした。
2007年の残る2回の対決であるウィンブルドン決勝・2007年テニスマスターズカップ準決勝は2006年の繰り返しだった。
前年のウィンブルドンは4セットだった代わりに、ウィンブルドン決勝は5セット目だったが、フェデラーが両方の試合に勝利した。更に、マスターズカップでは1時間未満という両者の対決の中で最も短い時間で勝敗が決まった。
年末までにフェデラーは対戦成績を6–8まで戻した。
2008年: モンテカルロ・ハンブルク・全仏オープン・ウィンブルドン
フェデラーとナダルは2008年に4回戦いナダルがそのすべてを勝利し、対戦成績を12–6とした。フェデラーとナダルは3年連続でクレーコート決勝で3回戦った。ナダルはフェデラーを3年連続でモンテカルロで破り、オープン化以降で初めてとなる4連覇を達成した。ナダルはクレーコートでフェデラー相手に唯一負けたハンブルクで雪辱を果たし、初めてハンブルクのタイトルを獲得した。
また、3年連続で両者は全仏オープンで戦い、 6–1, 6–3, 6–0のスコアでナダルが4年連続でタイトルを獲得した。このスコアはグランドスラム決勝の歴史の中で最も一方的なマッチの1つである。
ナダルとフェデラーはさらにウィンブルドン決勝で3年連続で戦った。中間の降雨のために遅延しウィンブルドンの歴史の中で最長の4時間48分を戦い、ナダルが初めてウィンブルドンのタイトルを手にした。この試合はフェデラーの5年以上続く、芝でのオープン化以降の記録である65連勝をストップさせた。
2009年: 全豪オープン・マドリード
フェデラーとナダルは2009年に2回だけ戦い、勝利を分け合った。
両者は年初から強く、全豪オープン決勝に到達した。これはナダルにとって初めてハードコートのグランドスラム初めて決勝だったが、フェデラーは8回のハードコートの決勝(5回全米オープン、3回全豪オープン)で一度も負けていなった。決勝は5セット4時間23分の激闘をナダルが制し、初めてハードコートでのグランドスラム優勝を果たした。
フェデラーはマドリード・マスターズ(両者の初めてのスペインでのマッチ)でナダルをストレートで破った。これは、一連のナダルのフェデラーに対する5セットマッチでの連勝を止めたという点で重要である。また、これにより、ナダルのクレーコートでの33連勝を止め、フェデラーの全仏オープンでの勝利とそれに伴うキャリア・グランドスラムの前兆であった。
2010年: マドリード・ ワールドツアーファイナルズ
2010年にフェデラーとナダルは2回戦い、前者をナダルが、後者をフェデラーが制した。
2人は1年ぶりにマドリード・オープンの決勝で相まみえ、ナダルがフェデラーをストレートで破った。
両者は3度目の年末最終戦での対決を2010年ATPワールドツアーファイナルズ初めてとなる決勝で迎えた。フェデラーは3セットで勝利することでインドアコートでの優位性を示し続けた。
2011年: マイアミ・マドリード・全仏オープン・ワールドツアーファイナルズ
フェデラーとナダルは4回シングルスマッチを戦い、ナダルが初めの3回を制し、フェデラーが最後の1回を制した。フェデラーはダブルスマッチをBNPパリバ・オープンでスタン・ワウリンカと組んで、準決勝でナダルとマルク・ロペスのペアを倒した。
2人が出会った2011年最初のシングルスマッチはマイアミ・マスターズ準決勝で、ナダルがストレートでこの試合を制した。
両者はムチュア・マドリード・オープン準決勝で戦い、ナダルが3セットで勝利した。
その後、2011年全仏オープンの決勝では2009年全豪オープン決勝以来初めてとなる両者のグランドスラムでの対決だった。これは、拮抗した試合だったが、ナダルがフェデラーを4セット勝利し、10度目のグランドスラムタイトルと6度目の全仏オープン優勝を飾った。これは、フェデラーがオープン化以降初めてとなる4つ全てのグランドスラムで2回以上勝利するという機会を失った。このあと、両者は2017年全豪オープンまでグランドスラム決勝で対戦することはなかった。
この年最後の対決は、2011年ATPワールドツアーファイナルズでの総当たり戦段階で、前年の決勝の再試合で、フェデラーが一方的にストレートで勝利した。
2012年: 全豪オープン・インディアンウェルズ
フェデラーとナダルは2012年の全豪オープン準決勝で対戦し、第1セットはフェデラーが取ったが、オーストラリアの日を記念する20分間の花火による遅延のあとナダルが逆転して4セット目で勝利し、ハードコートでの対戦成績を上昇させた。
次の対戦はインディアンウェルズ・マスターズの準決勝で、フェデラーはストレートで勝利し、その後4度目のタイトルを手にした。
2013年: インディアンウェルズ・ローマ・シンシナティ・ワールドツアーファイナルズ
フェデラーとナダルは2013年に4度対戦し、すべてナダルが勝利した。
フェデラーとナダルのインディアンウェルズ・マスターズでの対戦は初めてとなる準々決勝だった。これは、2004年のトーナメントでの試合以来最も早い段階での対戦で、ナダルがストレートで制した。
4月1日にマイアミ・マスターズで勝利したことで、アンディ・マリーがフェデラーを抜いてATPランキングで2位となった。これは2003年11月10日に空前の490週に渡りフェデラーとナダルがともにランキング2位以内となって以来初めてのことだった。
ナダルはその後ローママスターズ決勝でフェデラーを2セットで破った。
両者は2013年シンシナティでのウエスタン・アンド・サザン・オープン準々決勝でナダルは過去5回優勝しているフェデラーを3セットで破った。フェデラーはちょうど古いラケットを実験的に大きいフレームに変えて過去2試合に臨んでいた。
ナダルとフェデラーはインドアのO2アリーナでの2013年ATPワールドツアー・ファイナルで対戦し、ナダルがフェデラーをストレートで破った。これはナダルが今までで唯一フェデラー相手にインドアで勝利した試合である。これは、フェデラーがフレームを大きくする前に90インチのラケットでプレーした最後の試合である。
2014年: 全豪オープン
フェデラーとナダルは2014年シーズンには全豪オープン準決勝でのみ対戦し、ナダルがストレートで勝利して全豪オープンでの対戦成績を3–0とした。(グランドスラム全体では9–2)これはフェデラーが大きなラケットに変えてから始めてプレーするグランドスラム・トーナメントだった。
2015年: バーゼル
2015年11月フェデラーはナダルをスイス・インドアの決勝で3セットで破った。これは彼の故郷であるバーゼルでの7度のタイトルの内はじめてスイスの土で戦ったものだ。これはフェデラーが過去5回の対戦で負けてから3年半ぶりのナダルに対する勝利となった。
2017年: 全豪オープン・インディアンウェルズ・マイアミ・上海
フェデラーとナダルは2017年に4回対戦し、フェデラーがそのすべてに勝利した。これはフェデラーがナダル相手に立ちはだかり、複数回の対決で無敗であった初めてのシーズンである。
このシーズン最初の対決は2017年全豪オープン決勝で、2011年全仏オープン以来となるグランドスラムの決勝での対決となった。フェデラーは2016年シーズンの大部分を棒に振ることになった膝の怪我による6か月の休養から復帰して、第17シードから出場し、ナダルは第9シードから出場した。ナダルは2007年のウィンブルドン決勝からこの試合の前までフェデラー相手に全てのグランドスラムトーナメントで勝利し来ていて、そのうち3つは全豪オープンだった。フェデラーは第5セットを取り、史上初めてグランドスラム18勝を達成し、3つの異なるグランドスラムトーナメントで5勝以上という記録を作り、ナダルの2度目の全豪オープンのタイトルとオープン化以降の男子シングルスで初めて全てのグランドスラムで2勝以上の記録を阻止した。2017年全豪オープン決勝でのフェデラーのナダルに対する勝利はまた、芝のコートであるウィンブルドンを除いてグランドスラム決勝でのナダルに対する初めての勝利でもあった。
両者はまたインディアンウェルズの4回戦で対決したが、これは全てのトーナメントの中で準々決勝以前に対決したものの内2番目のものとなった。フェデラーはナダルにストレートで勝利したが、これはフェデラーが初めてナダルに3試合続けて勝利した試合だった。
両者の37回目の対戦はマイアミの決勝だった。これは2005年のマイアミの決勝以来アメリカでの初めての決勝で、フェデラーがストレートでナダルに対して4試合連続の勝利とした。
レーバーカップではナダルとフェデラーがダブルスで初めてペアを組み、サム・クエリーとジャック・ソックを相手にタイブレークでのマッチで勝利した。
フェデラーとナダルは初めて上海マスターズで対戦し、優勝を懸けた試合でフェデラーがストレートで勝利し、ナダルへの連勝記録を5に伸ばした。
フェデラーの対ナダルの新しく得た成功はバックハンドの改良によるところが大きい。これは大きなラケットによりナダルのフォアでの高くバウンドする球をより強く打て、より簡単に返せるようになったことによる。
2019年 全仏、ウィンブルドン
2019年の全仏オープン準決勝で相まみえた。この年フェデラーが3年ぶりにクレーシーズンに参戦したことで対戦が実現し、8年ぶりとなる全仏オープンでの戦いは、ナダルが6-3, 6-4, 6-2でフェデラーから5年ぶりの白星を手にする。ウィンブルドン選手権ではグランドスラム2大会連続、同大会で11年ぶりの対戦となり、7-6(3), 1-6, 6-3, 6-4でフェデラーが全仏の借りを返した。フェデラーが2022年に引退したため、この試合が彼らが激突する最後の試合となった。
対戦成績
シングルス
フェデラー–ナダル (16–24)
ダブルス
フェデラー—ナダル(1–2)
ペアとして
4大大会
- 略語の説明
W=優勝, F=準優勝, SF=ベスト4, QF=ベスト8, #R=#回戦敗退, RR=ラウンドロビン敗退, Q#=予選#回戦敗退, LQ=予選敗退, A=大会不参加, Z#=デビスカップ/BJKカップ地域ゾーン, PO=デビスカップ/BJKカッププレーオフ, G=オリンピック金メダル, S=オリンピック銀メダル, B=オリンピック銅メダル, NMS=マスターズシリーズから降格, P=開催延期, NH=開催なし.
- 太字 = 直接対決
合計成績(最高成績)
全豪オープン
全仏オープン
ウィンブルドン選手権
全米オープン
マスターズ1000合計成績
ATPツアーファイナルズ合計成績
オリンピック合計成績
年別
1999-2004
2005–2010
2011–2016
2017–2022
年齢別
18–22
23–27
28–32
33–37
38–42
ATPランキング
年間最終ランキング
世界ランキング1位
2020年10月12日付
大会別
詳細
- 全試合: ナダル, 24–16
- クレーコート: ナダル, 14–2
- ハードコート: フェデラー, 11–9
- アウトドア: ナダル, 8–4
- インドア: フェデラー, 7–1
- 芝コート: フェデラー, 3–1
- 全決勝戦: ナダル, 14–10
- クレーコート: ナダル, 11–2
- ハードコート: フェデラー, 6–2
- アウトドア: フェデラー, 4–2
- インドア: フェデラー, 2–0
- 芝コート: フェデラー, 2–1
- グランドスラム: ナダル, 10–4
- 全豪オープン: ナダル, 3–1
- 全仏オープン: ナダル, 6–0
- ウィンブルドン: フェデラー, 3–1
- 全米オープン: 対戦なし
- グランドスラム決勝: ナダル, 6–3
- 全豪オープン: 1–1
- 全仏オープン: ナダル, 4–0
- ウィンブルドン: フェデラー, 2–1
- 全米オープン: 対戦なし
- テニス・マスターズ・カップ/ATPワールドツアーファイナル: フェデラー, 4–1
- テニス・マスターズ・カップ/ATPワールドツアーファイナル決勝: フェデラー, 1–0
- ATPマスターズシリーズ/ATPワールドツアー・マスターズ1000 : ナダル, 12–7
- ATPマスターズシリーズ/ATPワールドツアー・マスターズ1000決勝: ナダル, 7–5
- クレーコート: ナダル, 7–2
- ハードコート: フェデラー, 3–0
- ATPワールドツアー500/ATP インターナショナルゴールド: 1–1
- ATPワールドツアー500/ATP インターナショナルゴールド決勝, 1–1
- ベストオブ5セットマッチ: ナダル, 11–4
- 5セットマッチ: 3–3
- 1セットも落とさずに勝利: ナダル, 6–2
- ベストオブ3セットマッチ: ナダル, 12–11
- タイブレーク: ナダル, 11–10
各種記録一覧
歴代記録
- グランドスラム1大会で5連覇
- サーフェスの連続勝利記録を保持。ナダルはクレーで81連勝、フェデラーは芝で65連勝・ハードで56連勝(ナダルの連勝記録を止めたのはフェデラー)
- オリンピック男子ダブルスで金メダル獲得(フェデラーは2008年北京オリンピックでスタニスラス・ワウリンカと、ナダルは2016年リオデジャネイロオリンピックでマルク・ロペスと)
- ある年のグランドスラムを二人で分け合うこと4度(2006⦅F,N,F,F⦆、2007⦅F,N,F,F⦆、2010⦅F,N,N,N⦆、2017⦅F,N,F,N⦆)
- 2人の合計成績で全仏オープンを10連覇
- 2005年7月から2009年8月17日までATPツアーランキングの上位2位をこの2人で独占し、6シーズントップを占め続けたペアである(フェデラーは2004年2月から237週連続で1位に在位し、5歳下のナダルは2005年7月に2位になった後、2008年8月にフェデラーを抜いて1位になるまで160週連続で2位に在位)。過去このように長期間上位2位を完全に占め続けたペアは存在しない。
脚注
外部リンク
- Roger Federer VS Rafael Nadal - Head 2 Head ATP Tour Official