第75回全日本バレーボール高等学校選手権大会(だいななじゅうごかいぜんにほんバレーボールこうとうがっこうせんしゅけんたいかい)は、2023年に開催された75回目の全日本バレーボール高等学校選手権大会である。男子は駿台学園が、女子は古川学園がそれぞれ優勝した。

概要

通算75回目の春の高校バレーである。全日本バレーボール高等学校選手権大会としては2011年の第63回大会から数えて13回目の開催である。東京都渋谷区にある東京体育館を会場とし、2023年1月4日から1月8日までの、5日間の日程で開催された。

2020年以来続く新型コロナウイルス感染症感染拡大の影響により、第73会大会及び第74回大会は全試合無観客で開催されたが、今大会では第1回戦から準々決勝までを無観客試合として行い、準決勝および決勝の計6試合のみ有観客で行われた。

上記のように一部制限が緩和されたものの、開会式は引き続き行われなかったほか、前回大会に引き続きチーム関係者及び運営スタッフ全員に抗原検査が行われ、この検査で陽性と判定された関係者が1人でもいた場合に大会に参加できないという条項が大会実施要項に設けられた。この条項により出場予定だった富士見が欠場となったほか、昨年優勝校で2連覇中であった就実も欠場となるなど影響を及ぼした。その他、インフルエンザが蔓延したとの理由で、都城工及び近江兄弟社が自主的に出場を辞退した。

開催要項

日程

日程は以下の通り。組み合わせ抽選会は全国高等学校体育連盟9ブロック長による責任抽選方式をとって2022年12月4日に行われ組み合わせが確定した。前回大会までと同様に、1回戦および2回戦は5つのコートを使い複数試合を同時に行われた。3回戦と準々決勝では4コートを使用し、大会4日目の準決勝からはメインアリーナの中央に設けられた特設コートを使用して行われた。

  • 2022年12月4日 - 組み合わせ抽選会
  • 2023年1月4日 - 男女1回戦
  • 2023年1月5日 - 男女2回戦
  • 2023年1月6日 - 男女3回戦・準々決勝
  • 2023年1月7日 - 準決勝
  • 2023年1月8日 - 決勝・閉会式

競技規則

競技は、2022年度公益財団法人日本バレーボール協会6人制競技規則に則り行われる。トーナメント方式を取り、1回戦から準々決勝まで3セットマッチ、準決勝および決勝は5セットマッチで行われる。試合は男女合計102試合。大会使用球は男子がミカサ・V300W、女子がモルテン・V5M5000。

大会へは、日本バレーボール協会に高等学校男子・女子として有効に登録されたベンチスタッフで構成されるチームで、各都道府県を代表する男女各1チームが出場できる。なお、北海道・東京・神奈川・大阪は男女各2チームが出場でき、開催地である東京は、追加でもう1チームに出場権が与えられる。(出場校については節「出場校」を参照

運営

特別協賛をジャパネットホールディングスが務めたため、大会名を「ジャパネット杯春の高校バレー 第75回全日本バレーボール高等学校選手権大会」とし、優勝校にはジャパネット杯が授与された他、部室で使えるジャパネットお買い物券などが贈られた。また、協賛のau(KDDI)と協業しているスポーツブルが、バーチャル春高バレーのコンテンツとして本大会および各都道府県代表決定戦などを配信した。そのほかの主催社・後援社等は以下の通り。

  • 主催:日本バレーボール協会・フジテレビジョン・産経新聞・サンケイスポーツ・FNS28社
  • 共催:全国高等学校体育連盟
  • 後援:スポーツ庁・文化放送・ニッポン放送
  • 主管:全国高等学校体育連盟バレーボール専門部・東京都バレーボール協会
  • 特別協賛:ジャパネットホールディングス
  • オフィシャル飲料協賛:ポカリスエット(大塚製薬)
  • 協賛:au(KDDI)

出場校

一覧

各都道府県予選を勝ち抜いた、以下の代表校男女各52チームが出場権を得た。

シード校

シードが与えられた学校は以下の通り。

組み合わせ

男子

組み合わせは以下の通りである。

女子

組み合わせは以下の通りである。

結果

男子

1回戦





徳留巧大擁す強豪・松本国際と対戦するのは、奏健太郎を中心に2022年のインターハイで鎮西を大きく苦しめ注目を浴びた昇陽。昇陽は「初出場初優勝」を掲げ松本国際に挑む。第1セットは昇陽の思う通りに試合が進み、第1セットを昇陽が取ると迎えた第2セット目、徳留や近藤悠斗を中心とした松本国際の高速コンビバレーで試合のペースを奪還。昇陽のエース・奏はブロックにマークされ、スパイクも思うように決まらなくなるとこのセットを25 - 17のスコアで昇陽が落とす。そのまま第3セットも松本国際の勢いは続き、フルセットの末松本国際の勝利となった。

試合を終えて松本国際の監督は「見ている皆さんが楽しい試合をしたい」と話す。敗戦した昇陽の奏は「自分が決めきれなかった。決め切れていたら勝てたのに悔しい」とその悔しさを露わにした。自身の今後について問われると、「まずは大学で日本一になり代表やVリーグを目指す」と抱負を語った。






石川県代表・小松大谷は3年ぶりに史上2度目となる春高出場権を得て、初戦を43回目の出場となった弘前工と戦った。第1セット、弘前工の身長に圧倒され25 − 12でこのセットを落とす。しかし第2セットで身長が190センチメートルある弘前工のエース・鳴海にブロックが決まるようになると逆転し、第2セットを奪う。しかし第3セットでは失速し、セットカウント2 - 1で弘前工が勝利した。

弘前工はこの勝利によって2017年の第69回大会以来6年ぶりの初戦突破を果たした。







2年ぶり38回目の出場となった宮崎県代表の都城工は、3年ぶり9回目の出場の東京都第Ⅲ代表早稲田実と対戦する予定であったが、都城工においてインフルエンザが蔓延したため出場辞退を申し出、受理されたため欠場となった。よって、この試合は早稲田実の不戦勝となり、規則のもと各セット25 - 0のスコアによる勝利扱いとなった。欠場となった都城工は出場として記録され、連続出場の記録は継続される。






2回戦




前回大会準優勝で国体王者の鎮西は、シード校であるため初戦で松本国際と対戦。鎮西は世代で1番のエースと評されている舛本颯真を擁し日本一を目指すが第1セットは初戦の硬さに加え、1回戦で強豪の昇陽に勝った勢いに乗る松本国際を相手に苦戦し、一時9点差を許すなど苦戦を強いられた (8 - 17)。松本国際の高速コンビバレーが鎮西を圧倒するが、舛本の必死のアタックで5連続得点を得 (18 - 20)、その後も追い上げデュースの持ち込み、辛うじて第1セットを獲った。第2セットは接戦となり、中盤で舛本のスパイクで勝ちこし、その後4連続得点。この試合は鎮西が制した。

優勝候補校同士の戦いであったが前回大会準優勝の鎮西が競り勝った。試合を終えて舛本は「初戦を突破できてほっとしている」「日本一になりたい」と話した。




前回大会優勝の日本航空は、大阪代表・清風と対戦。日本航空は前回大会優勝メンバーが殆ど引退してしまった中、残った前回大会ベストリベロの伊藤昌輝がキャプテンとしてチームを引っ張る。

第1セット、序盤から清風がリードする状況が続くが、日本航空のスパイクが立て続けに決まり終盤に逆転に成功。第1セットを取る。第2セットは日本航空のU-18日本代表にも選ばれている渡邉健や1年生鷹野天佑のスパイクで優位に試合を進め、第2セットも取り、試合を制した。日本航空の伊藤は「2連覇という目標を掲げて大会に臨んだ。嬉しい」と話した。












3回戦










準々決勝






準決勝




決勝


13年連続15回目の出場となった東京都第Ⅰ代表・駿台学園は迎えた決勝戦で去年準優勝で14年連続35回目の出場となった熊本県代表・鎮西と対戦。準決勝に引き続き有観客で試合は行われ、約6,400人が試合を観戦した。

第1セットから駿台学園は鎮西のエース・舛本颯真の高さのあるスパイクに翻弄され流れを作れない状況が続く。駿台学園が舛本を徹底マークしても点を決められ、第1セットを奪われる。第2セットも鎮西の流れは続き、駿台学園のエース・佐藤遥斗は思うように点を奪えず、下を向くようになるが、セッター・吉田竜也やリベロ・布台聖に檄を飛ばされると気持ちを切り替え、攻勢を強める。しかし第2セット中に追いつくことはできず、鎮西優勝に大手がかかった。

第2セットを終え、駿台学園の梅川大介監督は分析したデータをもとに、出来ていなかったライトからの攻撃を補填するため攻撃に適した1年・川野琢磨を準備させ、第3セットを迎える。しかしながら鎮西は舛本を中心として攻撃の手を弱めることなく、リードを続け (10 - 14)、鎮西が勝つと思われたが、駿台学園の梅川監督が抜擢した川野が投入されると8得点の大活躍で流れを奪還することに成功。他にも途中投入の1年・高沢大馳が活躍した。競り合った末駿台学園が第3セット目を獲った。攻撃の幅を持つようになった駿台学園は鎮西を相手に点を連取する。鎮西はトーナメントの都合上強豪校との試合が続いていて、3日間で計14セットの激戦を戦ってきた疲労に加え、舛本もかねてからの右膝の故障(半月板損傷)で本来であればプレーできない状況であるのにもかかわらず、無理矢理試合を戦ってきたため第4セットでは流石に落ち、駿台学園の流れが続いた。そのまま鎮西は第4セットを落とし、第5セットでも苦戦。最後は佐藤のサーブで崩し、チャンピオンシップポイントとなった。駿台学園は6年ぶり2度目の優勝を飾った。一方鎮西は前回大会と同じような流れで逆転負けを許し、2大会連続の準優勝となった。

世代一のエースと評された舛本は怪我をしながらもこの試合で85本ものスパイクをうち、鎮西全体の半数以上を占めた。舛本は試合後のインタビューで「最終セットは楽しんでできた。悔いはない」と話し、清々しい表情で会場を後にした。


女子

1回戦













静岡県代表で10年連続15回目の出場となった富士見は1月4日の第1回戦で愛媛県代表・松山東雲と対戦する予定であったが、事前に全関係者を対象に行われた抗原検査で富士見関係者に複数の陽性者が認められたため、大会実施要項に則り1月3日付で欠場が確定した。そのためこの試合は実施されず、松山東雲の不戦勝となった。なお、この欠場に伴う欠場校の取り扱いは上記の都城工と同様である。

富士見は学校が事前に行った検査では全員の陰性を確認していて、かつ大会事務局が行った検査で陽性が発覚した陽性者は全員無症状であるとしている。学校は「まずは生徒たちの心のケアに努めたい。あたたかく見守ってくださることを心からお願いいたします」とコメントした。










2回戦















第73回大会と第74回大会を連覇し、シードとして出場した岡山県代表・就実は、当日の朝行われた新型コロナウイルスの抗原検査で陽性と判断された選手がいたため、「関係者が抗原検査で陽性と判断された場合欠場となる」という大会規定に基づき欠場となった。1月3日に行われた抗原検査では全員陰性だった。

この欠場には批判もある。就実によると、試合当日の抗原検査で宿舎で抗原検査を実施し、当日提出したところ、春の高校バレー事務局が2人の選手について、「陰性を示すラインが薄れていて読み取れない」とし再検査を要求した。別室で再検査が行われることになったが、選手の要求にもかかわらず事務局の担当者は処理する過程を見せず、結果もすぐに伝えなかったという。その約1時間後、西畑美希監督は大会委員長より、陽性を示すキットを提示され、欠場となる旨が伝えられた。

就実側は事務局の一連の対応を不審に思い、直後に病院で2人のPCR検査を実施したところ、陰性と判定された。また、該当選手には新型コロナウイルスの症状はなかった。翌日西畑監督が説明を求めたものの、覆らなかった。なお、TBSなどのメディアも事務局に説明を求めたが、返答はなかったという。その後就実は「(再出場は)現実的に難しいのは理解している。検査のやり方や規程を見直してほしい」「選手には一生傷が残る。選手が納得のいくやり方をしてほしい」と声明した。日本バレーボール協会はこれを受け、規定の見直しを検討している。

なおその後、就実のOGである石井優希らが所属する久光スプリングスが、同年3月12日に行われた久光スプリングス対埼玉上尾メディックスの試合に就実と2022年の全国高等学校総合体育大会で優勝した金蘭会を招待し、エキシビジョンマッチを行った。なお、他のV1チームなどからも多数就実に対し代替試合の開催や会場提供などの申し出があったという。




3回戦










準々決勝






準決勝




決勝



記録

順位

個人賞

その他賞

放送

地上波

地上波ではフジテレビが放送。準々決勝までは全て深夜帯にスーパープレイを中心に編集されたハイライトが放送され、準決勝以降の試合は編集カットしたものが放送された。

CS放送

衛星放送(CS放送)ではフジテレビONE・フジテレビTWO・フジテレビNEXTの3チャンネルで2023年1月4日から2023年1月8日までの開催期間中に男女全102試合を全て放送。

  • なお、この大会の試合ではないが、欠場した就実のために2023年3月12日に行われた金蘭会とのエキシビションマッチは、3月12日10時05分からフジテレビNEXTで生放送された。解説は栗原恵。

脚注

注釈

出典

関連項目

  • 2023年のバレーボール
  • 2022年のバレーボール

外部リンク

  • 春高バレー 全日本バレーボール高等学校選手権大会

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