ベルモントステークス(Belmont Stakes)はアメリカクラシック三冠の3冠目として、ニューヨーク州にあるベルモントパーク競馬場のダート1マイル1/2(12ハロン・約2414メートル)で行われる競馬の競走である。

概要

アメリカンジョッキークラブの初代総帥であり、第1回が開催されたジェロームパーク競馬場の創設にも関わったオーガスト・ベルモントからこの競走名が付けられた。例年6月の第1土曜日、プリークネスステークスの3週間後に行われる。出走条件は3歳限定だが、ケンタッキーダービーやプリークネスステークスと同様に騸(せん)馬の出走も可能である。

距離については何度か変更されているが、1926年から現在の12ハロンに固定され三冠競走で最長距離であり、「テスト・オブ・チャンピオン」という異名がある。大半の出走馬にとって初の長距離戦であり、セクレタリアトの31馬身差をはじめ大差で決着することも少なくない。

競走の前に『ニューヨーク・ニューヨーク』を観客全員で歌うのが習慣となっている。

優勝馬にはホワイトカーネーションのレイが掛けられ、優勝馬のオーナーにはティファニーによってデザインされた銀製のトロフィーが贈られる。

歴史

  • 1867年 ジェロームパーク競馬場の距離1マイル5/8で創設された。
  • 1870年 エドワード・ダドリー・ブラウン騎手が優勝、アフリカ系アメリカ人として初のクラシック競走制覇。
  • 1874年 距離1マイル1/2に変更。
  • 1871年 本馬場入場を導入。北米では初の事例。
  • 1891年 開催地をモリスパーク競馬場に変更。
  • 1895年 距離1マイル1/4に変更。
  • 1896年 距離1マイル5/8に変更。
  • 1905年 開催地をベルモントパーク競馬場に変更。
  • 1911年、1912年 中止。
  • 1921年 現行の左回りに変更。
  • 1926年 現行の距離1マイル1/2に変更。
  • 1963年-1967年 アケダクト競馬場で代替開催。
  • 1973年 Secretariatが2分24秒0の世界レコードで優勝。
  • 1977年 Seattle Slewが優勝。史上初の無敗での米三冠を達成。
  • 1990年 Go and Goが海外調教馬として唯一の優勝。
  • 2007年 102年ぶりに牝馬Rags to Richesが優勝。本競走では史上3頭目。
  • 2015年 American Pharoahが優勝。37年ぶりに米三冠を達成。
  • 2016年 ラニが日本調教馬として初参戦(3着)。
  • 2018年 Justifyが優勝。41年ぶりの無敗での米三冠を達成。
  • 2019年 マスターフェンサーが史上2頭目の日本調教馬、史上初の日本産馬として参戦(5着)。
  • 2020年 新型コロナウイルス感染拡大の影響で2週延期して無観客開催となり、距離も1マイル1/8に変更。
  • 2024年、2025年(予定) ベルモントパーク競馬場が改修工事のため、サラトガ競馬場ダート10ハロンで代替開催。

ベルモントステークスが創設されたのは1867年のことで、第1回はニューヨークのブロンクス区にあったジェロームパーク競馬場において開催された。これはアメリカの三冠競走では最も古い創設であり、現存する北アメリカの競馬競走においても4番目に古い競走でもある。

競走名は開催資金を提供したオーガスト・ベルモントにちなんで名付けられたもので、ベルモント自身も同競走に何度も参加し、1869年にフェニアンという馬で制覇している。創設当時の施行距離は1マイル5/8(13ハロン、約2615メートル)で、また右回りの競走であった。

ジェロームパークにおいてのベルモントステークスの開催は1890年までで、翌年以降は近隣のモリスパーク競馬場に開催地が移された。モリスパーク時代の1895年、ニューヨーク州ではブックメーカーの締め出しを目的として、競馬産業に対する新たな法規制が検討されていた。このため、モリスパークは1895年のベルモントステークス開催を休止する予定を立て、夏季の競馬場の運営権を別の団体に貸し出してしまった。結局モリスパークは運営の危機を免れたが、同年のベルモントステークスは例年からかなり遅い11月2日に行われている。

1905年にロングアイランドにベルモントパーク競馬場が開設されると、ベルモントステークスの開催も同競馬場に移された。1963年から1967年の間は工事のためアケダクト競馬場での代替開催となったが、それ以外の時期はいずれもベルモントパークにて開催されている。

1908年、ニューヨーク州において賭博関連の規制を強化するハート=アグニュー法が成立し、1911年に発効した。これによって競馬を含む賭博行為が禁止されると、ベルモントパークも閉場を余儀なくされ、ベルモントステークスも1911年・1912年の2年間休止している。

1921年にコースの周回が左回りに変更、1926年から距離が1マイル1/2に改められ、以後この条件が定着した。優勝者に贈られる「オーガスト・ベルモント・トロフィー」もこの年から始まった。トロフィーの頂点はオーガスト所有のもと同競走を制した上述のフェニアンの像が乗り、器を下からエクリプス・ヘロド・マッチェムの三大基幹種牡馬の像が支える構図になっている。

1930年にデイリーレーシングフォーム紙において、ギャラントフォックスが3競走を制したことを「三冠」と評する記事が掲載されたことを機に、アメリカクラシック三冠の認識が固定化された。以後、2019年まで三冠競走の最終戦として施行され続けた。

2020年はCOVID-19の影響でケンタッキーダービーとプリークネスステークスの開催が秋シーズンへ大きくずれ込むことになった。これにより、ベルモントステークスは三冠競走の初戦として施行することになり、距離も1マイル1/8に変更された。

歴代優勝馬

  • 太字はアメリカクラシック三冠馬

日本調教馬の成績

脚注

注釈

出典

各回競走結果の出典

  • レーシング・ポストより(最終閲覧日:2015年6月7日)
    • 2015

参考文献

  • Richard Sowers (2014). The Kentucky Derby, Preakness and Belmont Stakes: A Comprehensive History. Trade paperback. ISBN 9780786476985 

関連項目

  • ケンタッキーダービー
  • プリークネスステークス
  • トラヴァーズステークス
  • ケンタッキーオークス
  • ブリーダーズカップ・ワールド・サラブレッド・チャンピオンシップ
  • アメリカクラシック三冠

外部リンク

  • belmontstakes.com - ベルモントステークス公式サイト
  • New York Racing Association - ベルモントパーク競馬場
  • Equibase Belmont Stakes

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