第四次朝鮮スパイ事件(だいよじちょうせんスパイじけん)とは、北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)によるスパイ事件。1958年(昭和33年)10月30日摘発(検挙)。北朝鮮内務省系のスパイ組織が在日本朝鮮人総聯合会(朝鮮総連)幹部と接触して工作員候補の獲得、在日本朝鮮人総聯合会(朝鮮総連)幹部の動向監視、朝鮮大学校建設資金の使途状況、在日アメリカ軍・自衛隊の情報を収集していたことが発覚した。
概要
青山京一こと姜乃坤は3カ月間のスパイ訓練を受けた後、1957年(昭和32年)10月、偽造された外国人登録証、北朝鮮本国から支給された工作資金を携行して、石川県加賀市の小塩浜から日本に密入国した。密入国後は、大阪市東淀川区に居住する秘密組織員・金基健方に宿泊する一方、大阪市港区二条通で質屋を営む新井こと朴南圭、大阪市天王寺区小橋元町の綿布商・山田こと李勝喜を用いて米ドルを1ドル=385円のレートで換金し、神奈川県川崎市の朝鮮人の紹介で東京都北区田端町のアパートに入居して、表向き「不動産屋の店員」として本格的な活動を開始し、
- 朝鮮総連幹部の動向監視
- 朝鮮大学校建設資金の使途状況調査
- 在日米軍・自衛隊に関する情報収集
などの任務を行っていた。なお、姜乃坤は北朝鮮「内務省の高級幹部」と称されていた。
警視庁は、1958年10月30日、姜乃坤(当時38歳)を逮捕した。さらに、12月中旬までに日本人を含む7人を逮捕した。
1959年(昭和34年)9月3日、東京地方裁判所は、姜乃坤に対し、出入国管理令・外国為替及び外国貿易法違反で懲役1年、執行猶予4年、罰金10万円の判決を下した。姜は1960年(昭和35年)、帰還船で北朝鮮に出国した。
脚注
注釈
出典
参考文献
- 清水惇『北朝鮮情報機関の全貌―独裁政権を支える巨大組織の実態』光人社、2004年5月。ISBN 4-76-981196-9。
- 高世仁『拉致 北朝鮮の国家犯罪』講談社〈講談社文庫〉、2002年9月(原著1999年)。ISBN 4-06-273552-0。
- 諜報事件研究会『戦後のスパイ事件』東京法令出版、1990年1月。
関連文献
- 外事事件研究会『戦後の外事事件―スパイ・拉致・不正輸出』東京法令出版、2007年10月。ISBN 978-4809011474。
外部リンク
- 特定失踪者問題調査会特別調査班 (2021年5月30日). “第4次朝鮮スパイ事件(日本における外事事件の歴史9)”. 調査会ニュース. 特定失踪者問題調査会. 2021年12月20日閲覧。