1949年の映画(1949ねんのえいが)では、1949年(昭和24年)の映画分野の動向についてまとめる。
1948年の映画 - 1949年の映画 - 1950年の映画
出来事
世界
- 米国、コミュニスト(共産主義者)の追放運動激化。
- 1月6日 - 米国、映画監督ヴィクター・フレミング死去。
- 9月 - 英国、『第三の男』(キャロル・リード監督)公開、大ヒット。
- 9月22日 - 米国、映画監督サム・ウッド死去。
- 月日不詳
- 米国、コロムビア、ユニヴァーサル、ユナイト三社が独禁法により配給禁止となる。
- 米国、女優・イングリッド・バーグマン、イタリアのロベルト・ロッセリーニ監督と不倫の恋。
- ソ連、モスフィルム、1950年度より全作品のカラー化を決定。
日本
- 2月
- 2月1日 - 大映、日活ビルから東京京橋・自社ビルに本社移転完了。
- 2月7日 - 物価庁、短編との合計で上映時間2時間越えの場合、封切館の入場料金を45円までの値上げ許可。
- 2月21日 - 教育映画配給社創立。
- 3月
- 松竹、進駐軍から返還された丸の内邦楽座、名称を接収時のピカデリー劇場に戻し、昼は英国映画の封切、夜は新劇の実験劇場としてオープン。
- 3月15日 - 東宝、自主製作を中止し、今後1年間、製作を新東宝に任せる。
- 3月28日 - 美空ひばり、『のど自慢狂時代』で映画デビュー。
- 3月29日 - 松竹洋画系(S・Yチェーン)業務開始。
- 4月
- 封切館の入場料金が50円(内税30円)になる。
- 地方の下番線で邦画の2本立興行が台頭。のちに2本立興行は邦画上映の主流となるが、製作費の負担が各社に重くのしかかる。
- 5月
- アメリカ映画雑誌『フォトプレイ』日本語版が創刊。
- 5月4日 - 日本映画監督協会発足。
- 5月16日 - 東宝、東京・大阪・名古屋の証券所に上場。
- 5月30日 - 東横映画京都撮影所、出火。
- 6月
- 6月14日 - 日本映画連合会(映連)、ピカデリー劇場でGHQに要請され自主規制を意図した映画倫理規程管理委員会(旧映倫)を発足させる。
- 7月
- 永田雅一社長と対立していた片岡千恵蔵が大映から東横映画(東映の前身)に移籍、9月には市川右太衛門も移籍。
- ジュリアーナ・ストラミジョーリがイタリーフィルム社を創立。イタリア映画の輸入再開。輸入第1作『戦火のかなた』(ロベルト・ロッセリーニ監督)はCIEの検閲で大幅なカットとなった。
- 7月16日 - 公正取引委員会、東宝、松竹、大映ほか48興行者に対し、現行プロ〔グラム〕契約を独禁法第19条違反と認め審判開始決定書を送附。
- 7月19日
- 朝日新聞に連載されていた石坂洋次郎の『青い山脈』が主演:原節子・池部良、助演:杉葉子(新人)で映画化されヒットする。
- 京都東洋現像所、全焼。
- 7月28日 - 過度経済力集中排除法指定下にあった東宝は、持株会社整理委員会により直接、間接に所有する他社株式の売却を指令されたのみで、企業分割は免れる。後楽園スタヂアムの株式売却により、同社の経営から撤退。
- 8月
- 8月1日 - 入場料金統制撤廃。
- 8月12日 - 永田雅一大映社長初渡米。9月10日、1か月にわたるアメリカ映画界視察の旅から帰国。
- 9月
- GHQのシャウプ勧告によって、〔1950年3月1日から〕入場税が150パーセントから100パーセントに軽減されることになる。
- 日活、日本スポーツを買収。10月、東京芝公園・屋内競技場「東京スポーツセンター」を「日活スポーツセンター」と改称し、スケート場経営を開始。
- 9月26日 - 東宝、米本卯吉社長就任。
- 10月
- 東宝、映画製作再開。自主配給路線の新東宝と争い。
- 東急合資による東横映画と太泉スタヂオのための配給会社、東京映画配給(東映の前身)創立。
- 10月1日 - 国際俳優・早川雪洲、13年ぶりに帰国。
- 10月10日 - 剣劇映画の企画続出に対し、映画倫理規程管理委員会(旧映倫)、製作各社に警告を発する。 12日、日本映画連合会(映連)各社代表委員会、時代劇映画の自粛と映画倫理規程管理委員会(旧映倫)の強化を決議。
- 10月15日 - 芸術祭に映画部門初参加。
- 10月21日 - 女優・田中絹代、戦後初の芸能使節として渡米。
- 11月
- 朝日文化賞、科学映画の製作に対して日本映画社が受賞。
- 11月13日 - 新東宝、自主配給を決定。
- 11月20日 - 東京映画配給(東映の前身)第1作『獄門島』(主演:片岡千恵蔵)が公開され、大ヒット。
- 11月25日 - 東宝が新東宝の配給契約違反を理由に、新東宝の12月・1月封切の映画8作品(中川信夫監督『私刑 リンチ』など)を東京地裁に仮処分申請し、12月5日に受理される。
- 12月
- 東京映画配給(東映の前身)が日本映画連合会に入会。
- 大阪・梅田映画劇場が梅田劇場に名称変更。
- 12月2日 - 新東宝製作の『野良犬』(黒澤明監督)が昭和24年度芸術祭文部大臣賞受賞。
- 12月10日 - 新東宝、東宝に対し「仮処分申請を取り下げない限り新作映画のネガを渡さない」と通告。
日本の映画興行
- 入場料金(大人)
- 50円(東京の邦画封切館)
- 入場者数 7億8676万人(1年間に1人平均9.6回鑑賞)
出典:『映画統計資料 : 昭和21年1月-30年12月(10年間)』日本映画連合会、1956年、1頁。NDLJP:1694281。
日本公開作品
受賞
- 第22回アカデミー賞
- 作品賞 - 『オール・ザ・キングスメン』 - ロッセン、コロンビア ピクチャーズ
- 監督賞 - ジョーゼフ・L・マンキーウィッツ - 『三人の妻への手紙』
- 主演男優賞 - ブロデリック・クロフォード - 『オール・ザ・キングスメン』
- 主演女優賞 - オリヴィア・デ・ハヴィランド - 『女相続人』
- 助演男優賞 - ディーン・ジャガー - 『頭上の敵機』
- 助演女優賞 - マーセデス・マッケンブリッジ - 『オール・ザ・キングスメン』
- 第7回ゴールデングローブ賞
- 作品賞 - 『オール・ザ・キングスメン』
- 主演男優賞 - ブロデリック・クロフォード - 『オール・ザ・キングスメン』
- 主演女優賞 - オリヴィア・デ・ハヴィランド - 『女相続人』
- 監督賞 - ロバート・ロッセン - 『オール・ザ・キングスメン』
- 第10回ヴェネツィア国際映画祭
- 金獅子賞 - 『情婦マノン』 - アンリ=ジョルジュ・クルーゾー監督、 フランス
- 第3回カンヌ国際映画祭
- パルム・ドール - 『第三の男』 - キャロル・リード監督、 イギリス
- 第23回キネマ旬報ベスト・テン
- 外国映画第1位 - 『戦火のかなた』
- 日本映画第1位 - 『晩春』
- 第4回毎日映画コンクール
- 日本映画大賞 - 『晩春』
- 都民映画コンクール賞
- 『お嬢さん乾杯!』・『晩春』・『女の一生』・『静かなる決闘』・『野良犬』(順不同)
- 第4回文部省芸術祭賞
- 映画部門 - 『野良犬』
生誕
- 1月12日 - ウェイン・ワン、 イギリス領香港、映画監督
- 1月14日 - ローレンス・カスダン、 アメリカ合衆国、映画監督・脚本家
- 1月16日 - キャロライン・マンロー、 イングランド、女優・モデル
- 1月17日 - アンディ・カウフマン、 アメリカ合衆国、男優・コメディアン
- 1月24日 - ジョン・ベルーシ、 アメリカ合衆国、男優・コメディアン
- 1月26日 - 小川知子、 日本、女優
- 1月28日 - 市村正親、 日本、男優
- 2月8日 - ブルック・アダムス、 アメリカ合衆国、女優
- 3月12日 - ロブ・コーエン、 アメリカ合衆国、映画監督・プロデューサー・脚本家
- 3月16日 - ヴィクター・ガーバー、 カナダ、男優
- 3月22日 - ファニー・アルダン、 フランス、女優
- 3月28日 - 伊武雅刀、 日本、男優
- 4月11日 - 武田鉄矢、 日本、男優・歌手
- 4月14日 - ジョン・シェア、 アメリカ合衆国、男優
- 4月20日 - ジェシカ・ラング、 アメリカ合衆国、女優
- 4月20日 - ヴェロニカ・カートライト、 イングランド、女優
- 4月26日 - 風間杜夫、 日本、男優
- 5月24日 - ジム・ブロードベント、 イングランド、男優
- 5月30日 - 火野正平、 日本、男優
- 5月31日 - トム・ベレンジャー、 アメリカ合衆国、男優
- 6月15日 - ジム・ヴァーニー、 アメリカ合衆国、男優・コメディアン
- 6月22日 - メリル・ストリープ、 アメリカ合衆国、女優
- 7月6日 - 崔洋一、 日本、映画監督
- 7月7日 - シェリー・デュヴァル、 アメリカ合衆国、女優
- 7月27日 - 勝野洋、 日本、男優
- 8月17日 - ジュリアン・フェロウズ、 イギリス、男優・脚本家・映画監督
- 8月23日 - シェリー・ロング、 アメリカ合衆国、女優
- 8月31日 - リチャード・ギア、 アメリカ合衆国、男優
- 9月16日 - エド・ベグリー・ジュニア、 アメリカ合衆国、男優
- 9月4日 - アーマンド・アサンテ、 アメリカ合衆国、男優
- 9月8日 - シガニー・ウィーバー、 アメリカ合衆国、女優
- 9月4日 - ジェフ・ブリッジス、 アメリカ合衆国、男優
- 9月25日 - シシー・スペイセク、 アメリカ合衆国、女優
- 11月17日 - 安原義人、 日本、声優
- 11月18日 - 斉木しげる、 日本、男優
- 12月2日 - 池田秀一、 日本、声優
- 12月16日 - 森田健作、 日本、男優・歌手・政治家
- 12月26日 - 音無美紀子、 日本、女優
死去
脚注
注釈
出典
参考文献
- 石原良太 編『映画賞・映画祭日本・外国受賞作品大全集 : 栄光と虚栄・アカデミー賞からヨコハマ映画祭』芳賀書店、1986年6月。ISBN 4-8261-0520-7。
- 春日太一『仁義なき日本沈没: 東宝VS.東映の戦後サバイバル』新潮社、2012年3月20日。ISBN 978-4-10-610459-6。
- 松竹『松竹九十年史』松竹、1985年12月。全国書誌番号:87001945。
- 大映 編『大映十年史』大映、1951年。doi:10.11501/2460993。全国書誌番号:52009699。
- 谷川義雄『年表・映画100年史』風濤社、1993年5月。ISBN 4-89219-113-2。
- 東宝『東宝五十年史』東宝、1982年11月。全国書誌番号:83041631。
- 渋沢社史データベース版(1982年11月刊行本が底本)
- 東宝 編『東宝75年のあゆみ ビジュアルで綴る3/4世紀 1932 - 2007』東宝、2010年4月。全国書誌番号:21785703。
- 東宝 編『東宝75年のあゆみ 1932 - 2007 資料編』(PDF)東宝、2010年4月。
- 日活『日活100年史 = Nikkatsu-celebrating 100 years of history』日活、2014年3月。全国書誌番号:22411179。
- 筈見恒夫『写真映画百年史』 補巻、鱒書房、1956年6月。 NCID BA32272354。NDLJP:2478782。
- 山川浩二『昭和広告60年史』講談社、1987年。ISBN 4-06-202184-6。
外部リンク
- 日本映画 - 日本大百科全書(ニッポニカ)