安房鴨川駅(あわかもがわえき)は、千葉県鴨川市横渚にある、東日本旅客鉄道(JR東日本)の駅である。
概要
線路は繋がっているが、内房線と外房線それぞれの終着駅である。そのため、当駅から発車する列車は上りしか存在しない。1997年(平成9年)頃までは両路線を相互に直通(当駅を経由)する普通列車が設定されており、急行列車は1975年(昭和50年)3月まで両路線を循環運転していた。両路線の相互直通を頻繁に行うと、車両の向きが容易に反転する不都合が起きるため、一時期、定期列車は内房線・外房線共に全て当駅にて折返しを行っていたが、2021年3月13日ダイヤ改正で当駅を経由して直通運転する列車が復活している。なお、内房線にあたる区間が北条線として先に当駅まで開業し、外房線にあたる区間は後から当駅に乗り入れたため、当駅の所属線も内房線となっている。
内房線は普通列車のみだが、外房線は普通列車の他特急「わかしお」も当駅まで来ている。また「わかしお号」は鴨川シーワールドの無料送迎バスと接続をするダイヤが設定されている。「わかしお」の一部は当駅から勝浦駅までの区間を普通列車として運転する。なお普通列車は一部を除き内房線、外房線相互の上り列車を対面接続する。
また、2007年(平成19年)に開催された「ちばデスティネーションキャンペーン」では、多数の臨時列車が当駅に発着した。鴨川シーワールドの最寄り駅であることから、2013年(平成25年)1月12日より、地域とJR東日本、鴨川シーワールドが連携して鴨川の観光をアピールするため、熱帯の海の魚を展示する水槽を駅改札の隣に設置している。水槽は高さ2.1メートル、直径1.3メートルの円柱型。海洋の熱帯魚21種130匹が泳いでいる。
歴史
- 1925年(大正14年)7月11日:鉄道省北条線(現・内房線)の駅として開設。
- 1929年(昭和4年)4月15日:房総線の安房鴨川延伸により北条線を房総線に編入。房総線の駅となる。
- 1933年(昭和8年)4月1日:房総線が当駅で房総西線と房総東線に分割される。房総西線所属駅となる。
- 1972年(昭和47年)7月15日:路線名称変更により、房総西線が内房線、房総東線が外房線となる。
- 1974年(昭和49年)10月1日:貨物取扱廃止。
- 1984年(昭和59年)2月22日:昭和天皇、香淳皇后の千葉県行幸啓に合わせて原宿駅発、安房鴨川駅着のお召し列車が運転。
- 1985年(昭和60年)3月14日:荷物扱い廃止。
- 1987年(昭和62年)4月1日:国鉄分割民営化に伴い、東日本旅客鉄道(JR東日本)の駅となる。
- 1988年(昭和63年)4月14日:東西自由通路跨線橋開通。
- 1989年(平成元年)3月25日:西口駅前ロータリー完成。西口開発へ。
- 2006年(平成18年)8月:駅舎改装。
- 2008年(平成20年)1月24日:構内跨線橋とホームを結ぶエレベーターの使用を開始。
- 2009年(平成21年)
- 3月3日:自由通路の跨線橋のエレベーターを使用開始。
- 3月14日:ICカード「Suica」の利用が可能となる。東京近郊区間に組込まれる。自動改札機と指定席券売機を導入。
- 3月:駅待合室改良。
- 2012年(平成24年)4月:西口ロータリー整備完了。
- 2023年(令和5年)
- 1月31日:みどりの窓口の営業終了。
- 2月1日:話せる指定席券売機を導入。
駅構造
単式ホーム1面1線(1番線)と島式ホーム1面2線(2・3番線)、計2面3線を有する地上駅である。ホーム同士を結ぶ跨線橋には、エレベーターが設置されている。自由通路にも2009年(平成21年)3月3日にエレベーターが設置された。
茂原統括センターの直営駅であり、管理駅として外房線安房小湊駅と安房天津駅、内房線江見駅と太海駅を管理している。話せる指定席券売機、自動改札機(Suica対応)が導入されている。他にNewDaysがあるが、キャッシュレス専用の無人店舗となっている。
駅舎は東口にあり、前原海水浴場などへ便利である。市役所、イオンなどがある西口があり、東口とは改札外の自由通路で結ばれる。
駅西側に留置線が3本あり、夜間などは車両が留置される。この場合、回送列車は一度太海駅方面に車両を発車し、折返す形で留置線に入線して来る。従って、駅のすぐ太海駅側にある太一号踏切では、回送列車がここを通る場合は「開かずの踏切」となり、しばしば渋滞が発生する。
1番線のホーム上には地震計が設置されている。
のりば
(出典:JR東日本:駅構内図)
- 特急「わかしお」は、主に1番線を使用する。
- 多客時、一部特急「わかしお」が太海方面へ延長運転されることがある他、直通運転する臨時列車が設定されることがある。
- 外房線・内房線共終着駅であり当駅を通過することは出来ない(場内信号機に進行現示が無い)。
- 運転4 - 運転6番線と、ホームとの入出区は、太海方の内房線本線上にてスイッチバックを行う。
- 夜間、1・3番線、運転4 - 6番線に特急及び普通列車が留置される。日中にも運転4 - 6番線に留置される車両がある。
(出典:今尾恵介『JR東日本全線【決定版】鉄道地図帳vol.4 水戸・千葉支社管内編』学研プラス、2010年3月19日。ISBN 978-4056057652。 )
駅弁
2023年ごろまでは、主な駅弁として下記を販売していた。
- さんが焼き
- あさりめし
利用状況
2023年度(令和5年度)の1日平均乗車人員は1,107人である。近年は減少傾向が続いている。
1990年度(平成2年度)以降の1日平均乗車人員の推移は以下の通り。
駅周辺
駅東口は昔からの市街地を形成しており、中小商店街が連なる。東口から真っ直ぐ道を進むと前原海岸に突き当たる。駅西口は鴨川バイパスが開通してから開発された地区であり、イオン(フローレ鴨川)が立地する。
- 鴨川市役所
- フローレ鴨川ショッピングセンター(イオン鴨川店)
- 鴨川市役所鴨川駅西口市民サービスセンター
- 鴨川郵便局
- 前原海水浴場
- 魚見塚展望台
- 一戦場スポーツ公園
- みんなみの里
- 大山千枚田
- 金山ダム - 桜の名所
- 鴨川温泉「なぎさの湯」源泉地
- 粟斗温泉
- 鴨川シーワールド
- 千葉県立長狭高等学校
- 鴨川令徳高等学校(文理開成高等学校改め)
- 国道128号
- 千葉県道34号鴨川保田線(長狭街道)
- 千葉県道247号浜波太港線
- 亀田総合病院
- 鴨川市立国保病院
- 東洋大学鴨川セミナーハウス
バス路線
その他
- 太海駅 - 当駅間は強風の影響を受けやすく、しばしば速度規制や運転中止になる。
- かつて駅舎には「なぎさの湯」を用いた足湯が設けられていたが、2007年の夏頃に撤去されている。
隣の駅
※外房線の特急「わかしお」、臨時特急「新宿わかしお」の隣の停車駅は列車記事を参照されたい。
- 東日本旅客鉄道(JR東日本)
- ■外房線
- 安房天津駅 - 安房鴨川駅 - (内房線)
- ■内房線
- 太海駅 - 安房鴨川駅 - (外房線)
脚注
記事本文
出典
利用状況
- JR東日本の2000年度以降の乗車人員
- 千葉県統計年鑑
参考文献
- 曽根悟(監修) 著、朝日新聞出版分冊百科編集部 編『週刊 歴史でめぐる鉄道全路線 国鉄・JR』 31号 内房線・外房線・久留里線、朝日新聞出版〈週刊朝日百科〉、2010年2月21日、5-23頁。
関連項目
- 日本の鉄道駅一覧
- 鴨川駅 - 四国旅客鉄道(JR四国)予讃線の駅で、当駅より開業が早いため当駅が旧国名を冠して安房鴨川駅となった。
外部リンク
- 駅の情報(安房鴨川駅):JR東日本