ウラボシ科(Polypodiaceae)は、シダ植物門に含まれる科のひとつである。和名の「裏星」という名は葉の裏の胞子のう群が円形で、それが多数並んでいるのを星に見立てたものである。かつてはほとんどのシダがこれに含まれていた。現在では単葉を持つ着生植物が多い。

特徴

この科に属するシダの特徴は以下の通り。

  • ほとんどは着生植物である。
  • 根茎は匍匐して、中心柱は網状、表面には鱗片が並ぶ。
  • 葉は例外はあるが単葉か羽状に裂ける程度。
  • 葉脈は複雑な網状をなす。
  • 胞子のう群は円形のものが多く、多数つく場合には互いにくっついて一面になる場合もある。
  • 胞子のう群には包膜はない。

熱帯を中心に約50属、600種ほどが知られ、日本では12属50種ほどが記録されている。

系統

この科は20世紀半ばまでは水生シダ類などごく一部を除いて、シダ植物門のほとんどすべてを含む群であった。しかし、その後にシダ類の系統関係について次第に明らかになるにつれ、細分され、現在の状況となっているものである。現在この科に含まれているものは、ほぼ単系統であると考えられている。この科には単純な葉の形のものが多いが、むしろ着生植物の方向へ高度に進化したシダであると考えられる。

なお、サジラン属やビカクシダ属を独立させる説や、スジヒトツバ科、ヤブレガサウラボシ科などをこの科に含める考えもあり、未だ科の範囲等で意見の一致を見ない部分がある。

分類

日本産のものを中心に、代表的なものを挙げる。

  • Aglaomorpha カザリシダ属:カザリシダ
  • Colysis イワヒトデ属:ヤリノホクリハラン・シンテンウラボシ・ヒトツバイワヒトデ・イワヒトデ・オオイワヒトデ
  • Crypsinus ミツデウラボシ属:ミツデウラボシ・タカノハウラボシ・ヤクシマウラボシ・ミヤマウラボシ
  • Drymotaenium クラガリシダ属:クラガリシダ
  • Lemmaphyllum マメヅタ属:マメヅタ・オニマメヅタ
  • Lecanopteris アリノスシダ属
  • Lepisorus ノキシノブ属:ノキシノブ・ミヤマノキシノブ・ヒメノキシノブ・トヨグチウラボシ・コウラボシ
  • leptochilus オキノクリハラン属
  • Loxogramme サジラン属:サジラン・イワヤナギシダ・ヒメサジラン
  • Microsorium ヌカボシクリハラン属(ミクロソリウム):ヌカボシクリハラン・ミツデヘラシダ・ホコザキウラボシ・タカウラボシ
  • Neocheiropteris クリハラン属:クリハラン・ヤノネシダ
  • Phymatosorus オキナワウラボシ属:オキナワウラボシ
  • Polypodium エゾデンダ属:アオネカズラ・タイワンアオネカズラ・ミョウギシダ・オシャグジデンダ・エゾデンダ・オオエゾデンダ
  • Platycerium ビカクシダ属:ビカクシダ(コウモリラン)
  • Pyrrosia ヒトツバ属:ヒトツバ・イワオモダカ・ビロードシダ

関連項目

  • PLエキス - ウラボシ科のシダから抽出されるエキス
  • オスラジン - エゾデンダ属に含まれる甘味物質

参考文献

  • 岩槻邦男編『日本の野生植物 シダ』(1992年、平凡社)

オキナワウラボシ

西表島植物図鑑オキナワウラボシ

コウラボシ

ウラボシ科(Polypodiaceae) えるだまの植物図鑑

ホコザキウラボシ