使徒信条(しとしんじょう、ラテン語: Symbolum Apostolicum, 英語: Apostles' Creed)は、キリスト教のうち、西方教会(カトリック教会、聖公会、プロテスタント)における基本信条のひとつ。使徒信経(しとしんきょう)とも。ラテン語原文の冒頭の語をとってクレド(Credo) とも呼ばれる。東方を含む世界公会議での承認は受けていない。

なお、東方教会(正教会、東方諸教会)では使用されない。東西両教会で使用されるという意味でより広く使われる基本信条には、ニケヤ信条(ニカイア・コンスタンティノポリス信条)がある。

歴史

使徒信条は、ローマ教会の古来の洗礼式の信条である「ローマ信条」(2世紀後半)にもとづいてつくられたもので,早くから公同の信条として用いられてきた。

使徒信条という名は、この信条が使徒たちの忠実な信仰のまとめとみなされていることによる。全部を12節に分け、十二使徒がそれぞれの節を書いたという伝説すらあるが、確証はない。

信条本文

ラテン語

日本語訳

キリスト教の全教派に共通の日本語訳は存在しない。教派ごとに、また時代によってもいくつかの訳が存在する。

カトリック教会

聖公会


プロテスタント

変形

  • カトリック教会とルーテル教会では、一人称で平叙文の原文を、二人称の疑問文に変形したものが、洗礼式で用いられる。
  • 日本基督教団『讃美歌』(1954年刊)の566番に掲載されている使徒信条には、「・・・生ける者と死ねる者とを審きたまわん」とあるが、日本福音連盟の『聖歌』(1958年刊)の見開きページにある使徒信条には、この部分は「・・・生ける者と死にたる者とを審きたまわん」とある。なお『新聖歌』では後者の表記を踏襲している。特に福音派系の教会の礼拝において使徒信条を唱える場合、讃美歌集の採用の違いや、教団の信仰告白との兼ね合いから、どちらを採用するかは教会によってまちまちである。
  • 救世軍では、使徒信条にメソジスト的教理を含めた「救世軍教理」を聖別会(礼拝)ごとに唱える。

内容

三位一体

三位一体を信じる教派では、この信条は三位一体の信仰を強調していると主張する。

宇田進は使徒信条の根本的特色に「三位一体の神が告白されている」ことをあげ、「「我は・・・父なる神を信ず」「我は・・・イエス・キリストを信ず」「我は聖霊を信ず」とある。」「使徒信条は、全体として三位一体の順序に従って、父、子、聖霊に関する三部分の叙述から構成されているが、重心は御子イエス・キリストに置かれている。」と述べ、使徒信条の重点がイエス・キリストにあるとしている。

陰府降下(地獄降下)

 キリストの陰府(地獄と述べる教会もある)への降下の句は、初期の使徒信条にはなかった。2世紀の「古ローマ信条」には「主は死にて葬られ、三日目に死人のうちよりよみがえり」とあるのみである。4世紀の「使徒信条ラテン語版」になって、「彼はインフェロス(ラテン語の冥界=陰府)にくだり」が付け加えられた。このインフェロスとは、ローマ神話などで言われてきた冥界(陰府)のことだが、4世紀以降、ローマ人や西洋人の間でこの冥界(陰府)は、地獄と同一視されるようになっていった。

 聖書は「彼はハデス(よみ)に捨てて置かれず」(使徒の働き2・31)と述べている。西洋では、この「ハデス=よみ」を地獄と同じものと考え、「地獄」に置き換えて述べるようになった。今日の西洋カトリック教会の使徒信条や、米国プロテスタント教会の使徒信条の多くが「主は地獄にくだり」となっているのは、これに由来する。

 英国国教会や一部の米国教会などでは、この箇所は「主は死者の所へくだり」と述べられ、「地獄」の語は避けられている。日本では、カトリックでもプロテスタントでも使徒信条は「主はよみにくだり」となっている。昔の景教徒たち(ネストリウス派キリスト教徒)も、「弥師訶(メシア)は、(十字架の死後)闇処(よみ)に向かわれました」(世尊布施論第三)と書いている。

 キリストの陰府への降下は、使徒信条で信条化されているのにもかかわらず、西方教会では解釈が非神話化(つまり実際の出来事でなく、象徴的に解釈)される傾向がある。それは、根拠とされてきた聖書箇所が、この教理を支持しないという議論のためである。米国の神学者ウェイン・グルーデムは、「主は地獄には下らなかった:使徒信条ではなく聖書に従おう」と題する論文を著している。

 正教会では、使徒信条を信条としては用いないが、キリストの陰府への降下は復活と結びつけられ、今でも重要な信仰の要素となっている。

その他

プロテスタントでは、使徒信条は異教とキリスト教の線を引くものにすぎず、他の教派に対するプロテスタント固有の正統性を保証するものではないとする解釈もある。

参照項目

  • ニカイア信条(原ニケヤ信条)
  • ニカイア・コンスタンティノポリス信条

脚注

参考文献

  • 宇田進『福音主義キリスト教と福音派』いのちのことば社、1993年6月1日。ISBN 978-4264014232。 
  • 久松英二『ギリシア正教 東方の智』講談社〈講談社選書メチエ〉、2012年2月10日。ISBN 978-4062585255。 

外部リンク

  • 使徒信条(東京基督教研究所訳) - 日本基督教団信仰告白に用いられた訳文



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