Siglec(シアル酸結合免疫グロブリン-タイプレクチン)はシアル酸と結合する細胞表面タンパク質である。主に免疫細胞との表面に見られるI型レクチンの一種である。哺乳類では14種が見つかっており、細胞表面受容体-リガンド相互作用に基づき多様な機能を発揮する。

歴史

はじめにSiglecの候補として見出されたのはマクロファージ表面のSialoadhesin(Siglec-1/CD169)レクチン様接着タンパク質である。同時期にAjit Varkiらは、CD22(接着や活性化に関わる B細胞 表面タンパク)がシアル酸を認識する直接的な証拠を示した。その後、Crocker らによるSialoadhesinのクローニングにより、CD22(Siglec-2)、CD33(Siglec-3)および ミエリン関連糖タンパク質(MAG/Siglec-4)との相同性が示されたことから、"Sialoadhesin"ファミリーが提唱された。その後、Varkiが"Siglec"という名称を提唱し、I型 レクチンの一種であることを示した。以降、この名称がこれら分子に関わる研究者のほぼすべてにより採用されている。CD33と非常に類似した構造の複数のSiglec(Siglec5-12)がヒトで見つかっており、"CD33関連Siglecs"と呼ばれている。Sialoadhesin、CD22、MAGおよびSiglec-15を含む一部のSiglecはマウスおよびヒトで完全に保存されており、Siglec-8、Siglec-9はマウス、およびラットにおいて ホモログ を持つ(Siglec-FおよびSiglec-E)ヒトがマウスよりも多様なSiglecを持つため、ナンバリングはヒトタンパクに基づく。

機能

Siglecの主たる機能はシアル酸を含む糖鎖との結合である。これらの受容体-糖鎖相互作用は細胞接着、シグナリングなどに使われる。Siglecの機能は細胞での発現により制限される。例えば、MAGは希突起膠細胞、およびシュワン細胞にのみ見られる一方、Sialoadhesinはマクロファージにのみ存在する。

多くのSiglecは短く、細胞表面から離れた分子に対しては機能しない。これにより、哺乳類細胞はシアル酸を含む糖鎖に覆われているにもかかわらず、他の細胞に接着することは防がれている。つまり、Siglecの多くは同じ細胞上のリガンド(cis-リガンド)としか結合せず、同一細胞上の糖鎖が周囲に集合する。一つの例外はSialoadhesinであり、16個のC2-Igドメインを持ち、他の細胞上のリガンド(trans-リガンド)と結合する。その他、MAGもtrans-リガンドと相互作用することが示されている。

シグナリング

多くのSiglecは免疫受容抑制性チロシンモチーフ(Immunoreceptor Tyrosine-based Inhibition Motif: ITIM)を細胞内領域に持ち、これによって免疫細胞の活性化を抑制する。リガンドと結合するとSiglecはSrc相同性領域2(SH2)ドメイン含有フォスファターゼ(SHP)等の抑制性タンパクをITIM領域に動員する。リガンド結合後、ITIMに含まれるチロシンがリン酸化され、SHPのようなSH2ドメイン含有タンパクの結合領域として機能する。これにより細胞質タンパクが脱リン酸化され、活性化経路が阻害される。

ヒト-霊長類 Siglec

参照文献


SIGLEC SIGLEC JapaneseClass.jp

QuantiCyto® Human Siglec5/Siglec14 ELISA kit_人唾液酸结合免疫球蛋白型凝集素5/14

Images of SIGLEC JapaneseClass.jp

SIGLEC expression in different tumor types. (A) Increased or decreased

What does SIGLEC mean? Definition of SIGLEC SIGLEC stands for