広安市(こうあん-し)は中華人民共和国四川省東部に位置する地級市。
鄧小平の出生地で、広安区協興鎮牌坊村に生家と記念館がある。
地理
広安市は南は重慶市(墊江県、長寿区、渝北区、合川区)に接し、西は遂寧市蓬渓県と南充市嘉陵区・高坪区、北は南充市蓬安県、東は達州市渠県・大竹県が接する。
面積6,344平方kmで、東西130km、南北90kmにわたり広がる。地形は東高西低で、華鎣山が広安市域を分割しており市域内の地形はさまざまである。東部の隣水県は、川東(四川東部)の褶曲山地に属し深い山や谷が平行に走り、広安区、華鎣市、武勝県、岳池県は川中(四川中部)の丘陵地帯に属し、嘉陵江と渠江が丘の間を流れる。丘陵地の面積が4,091平方kmと市域の64.66%を占め、高い丘が4.3%、山地は23%、平地が8.3%を占める。
気候は亜熱帯で、年平均気温は17度ほど、1月の平均気温も6度と冬でも温暖。7月は平均気温は27.8度になり、暑い日は40度を超えることもある。年平均降水量は1,014mmから1,282mmの間。
歴史
広安市は渠江沿いに東から四川盆地へと入る戦略上の要所である。四川省北部(川北)と東部(川東)が交じり合うところで、歴史上さまざまに分割され、南充や重慶など周辺の中心都市に属してきた。清朝に入り、現在の武勝県は川東道の重慶府・合州の管轄下となり、現在の広安区(広安県)、華鎣市、隣水県、岳池県は川北道の順慶府(南充)の管轄下となった。中華人民共和国に入ると、広安区、華鎣市、武勝県、岳池県は南充地区に入り、隣水県は達県地区(達州)の管轄となった。
1993年に周囲の地区から華鎣市、武勝県、岳池県、広安県、隣水県を独立させ、広安県に区所を置く広安地区が設立されたが、1998年7月31日に広安地区と広安県は廃止され、地級市・広安市となった。
2010年6月中旬、中国南部を襲った集中豪雨の影響を受け、市内は163年ぶりの大洪水。水位が7-10mに達するなど市街の大部分が浸水した。
行政区画
2市轄区・1県級市・3県を管轄下に置く。
- 市轄区:
- 広安区・前鋒区
- 県級市:
- 華鎣市
- 県:
- 岳池県・武勝県・隣水県
年表
この節の出典
広安地区
- 1993年7月2日 - 四川省南充地区華鎣市・広安県・岳池県・武勝県、達県地区隣水県を編入。広安地区が成立。(1市4県)
- 1998年7月31日 - 広安地区が地級市の広安市に昇格。
広安市
- 1998年7月31日 - 広安地区が地級市の広安市に昇格。(1区1市3県)
- 広安県が区制施行し、広安区となる。
- 2013年2月8日 - 広安区の一部が分立し、前鋒区が発足。(2区1市3県)
経済
谷や川が多いため水力資源は豊富であり、水力発電用の大型ダムが多数建設されている。また石炭、鉄鉱石、石灰石、岩塩、天然ガスなどの鉱物資源も多様かつ大量。華鎣市には淡水湖の天池湖がある。
- ダム
七一ダム (广安)、新農ダム、全民ダムそして、隣水県と重慶市長寿区に跨って大洪河ダムなどもある。
2006年の市のGDPは281.11億元で、1人当たり7,493。農業が主な産業で、穀物、油、ブタ、養蚕、果物などが主。工業は資源を使った原材料工業(電力、採炭、コンクリート)と紡績業、食品産業などが中心。主な企業は炭鉱会社のほか、コンクリート会社や発電所、ビール会社など。
教育
大学
- 広安職業技術学院
交通
鉄道
- 襄渝線
- 蘭渝線、南高支線
道路
- 高速道路
- 滬蓉高速道路
- 包茂高速道路
- 蘭海高速道路
- 銀昆高速道路
- 広瀘高速道路
- 通広高速道路
- 広洪高速道路
- 国道
- G210国道
- G212国道
- G244国道
- G318国道
- G350国道
- 省道
- 106省道
- 203省道
- 218省道
- 304省道
健康・医療・衛生
- 広安区人民医院、広安区第二人民医院、前鋒区人民医院、前鋒区第二人民医院、華鎣市人民医院(華鎣市中医院)、華鎣市婦幼保健院、華鎣市衛生防疫站
- 岳池県人民医院、岳池県康復医院、岳池県婦幼保健站、武勝県人民医院、武勝県第二人民医院、武勝県中医院
- 隣水県人民医院、隣水県第二人民医院、隣水県中医院
名所・旧跡・観光スポット
- 鄧小平故居(中国の観光地等級AAAAA、四川全国重点文物保護単位列表)
- 鄧小平紀念館
- 華鎣大峡谷
関連項目
- 四川料理
- 四川盆地、成都平原
- 四川大地震、四川地震 (2013年)
- 成渝経済区
- 在重慶日本国総領事館(管轄区域:重慶市・四川省・雲南省・貴州省)
出典
外部リンク
- 広安人民政府