『お笑い三人組』(おわらいさんにんぐみ)とは、1955年11月から1960年3月までNHKでラジオ放送され、1956年11月から1966年3月までテレビ放送された公開バラエティコメディ番組。1960年9月13日からカラー化。
概要
ものまね芸人の3代目江戸家猫八、講談師の一龍齋貞鳳、落語家の三遊亭小金馬(後の4代目三遊亭金馬→2代目三遊亭金翁)の3人を中心に、楠トシエ、音羽美子、桜京美、武智豊子、渡辺篤がレギュラー出演した。
物語の舞台は「あまから横丁」に始まり、時代劇では「あまから長屋」、役柄を変えて再び「あまから横丁」と、2度リニューアルされた。第1期のセットは板に背景を書いただけであったが、第3期は立体的に作られており、こちらの方がよく知られている(第2期は映像が現存していないので不明)。
第3期では「八ちゃん、おたまちゃん、うー」というギャグが大いに受け、エンディングでは3人が主題歌を歌って終わるのが定番であった。
第1期「あまから横丁」
- パン屋の六さん:3代目江戸家猫八
- 保険外交員の今泉良夫さん:一龍齋貞鳳
- 酒屋の金ちゃん:三遊亭小金馬(後の4代目三遊亭金馬→2代目三遊亭金翁)
- 金ちゃんの妻:桜京美
- 良夫さんの妻:音羽美子
- 六さんの妻:楠トシエ
- (?):武智豊子
- (?):渡辺篤
第2期「時代劇・あまから長屋」
- (?):江戸家猫八
- 浪人:一龍齋貞鳳
- (?):三遊亭小金馬
- (?):音羽美子
- (?):桜京美
- (?):楠トシエ
- (?):武智豊子
- 長屋の大家:渡辺篤
第3期「あまから横丁」
- クリーニング屋の八ちゃん(八太郎):江戸家猫八
- ニコニコクレジット社員の正ちゃん(今泉正二):一龍齋貞鳳
- 満腹ホール(ラーメン屋)の竜ちゃん(竜助):三遊亭小金馬
- 金ちゃんの妹(かおる):音羽美子
- 正ちゃんの妻(真知子):桜京美
- おたまちゃん(珠枝、八ちゃんの恋人):楠トシエ
- おたまちゃんの母・おふで:武智豊子
- クリーニング屋「峰松」の主人:渡辺篤
- 金ちゃんの父:木田三千雄
- 頑太(満腹ホールのアルバイト):矢野目がん
他の出演者
- 柳沢真一、藤村有弘、千葉信男、逗子トンボ、谷村昌彦
- 三木のり平、有島一郎、大宮敏充、トニー谷
- 由利徹、南利明、八波むと志
テレビ版の放送時間
火曜20:30 - 21:00(JST)
- 但し1963年4月から1964年3月までは、火曜20:30 - 21:30にドラマ『事件記者』が編成されたので、火曜20:00 - 20:30に繰上げて放送した。
テレビ版の放送リスト
1956年
1957年
1958年
1959年
1960年
1961年
1962年
1963年
1964年
1965年
1966年
主題歌
- 「お笑い三人組テーマソング」 - 作詞:名和青朗、作曲:土橋啓二、歌:三遊亭小金馬・一龍齋貞鳳・江戸家猫八
- オープニングでは本曲のインストが流れる中で漫画調のイラスト付きのキャスト紹介がされ、エンディングでは3人が舞台中央に出て「アハハ ウフフ」と始まる歌を歌って締めくくるのが定番だった。また、ドラマの途中で女性キャスト3人が歌う副主題歌も人気があった。
- フジテレビで放送されていたバラエティ番組『志村けんのだいじょうぶだぁ』内のコントコーナー「ご存知!じいさんばあさん」では、締めで本曲の替え歌が歌われていた。
スタッフ
- プロデューサー:坂本朝一
- 脚本:名和青朗
- 演出:辻真先、久米昭二
- 演奏:シルバーダンディーズ、秋本薫とニュースワン・オーケストラ
- 音楽・指揮:土橋啓二
- キャスト紹介のイラスト:不明
劇場版
本作は劇場版が3本製作されており、1958年には日活で1本、1961年には新東宝で2本製作公開されている。いずれもモノクロだが、日活版はスタンダードで上映時間も「52分」(いわゆる「SP映画)なのに対し、新東宝版は新東宝スコープ・83分になっている。
- お笑い三人組
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- 1958年6月10日、日活系で公開。
- 脚本:鈴木三千夫
- 監督:吉村廉
- お笑い三人組 泣き虫弱虫かんの虫の巻
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- 1961年4月26日、新東宝系で公開。
- 脚本:七条門、福田良二
- 監督:小野田嘉幹(音羽美子の兄)
- お笑い三人組 怪しい奴にご用心
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- 1961年5月10日、新東宝系で公開。
- 脚本:小野田嘉幹
- 監督:小野田嘉幹
備考
- 番組の起源: 1953年の日本テレビ開局記念番組を放送中に放送事故が発生した。急遽、三遊亭小金馬、三遊亭歌奴、一龍齋貞鳳、江戸家猫八の4人で即興のインチキプロレス(コント)を放送し、開局祝賀会場は爆笑の渦に包まれた。これを見た同局社長 正力松太郎の指示によって、直ちに彼らをメインとしたレギュラー番組が作られた。1955年に、歌奴を除く3人がNHKに引き抜かれて『お笑い三人組』が開始した。
- この番組は毎週火曜日に内幸町の東京放送会館内にあった旧NHKホール(渋谷にある現在のNHKホールとは別の施設)から生放送され、VTR導入後も最終回まで生放送を貫いた。尚且つゴールデンタイムでの放送ということもあり、1960年9月10日のカラー本放送開始に伴い、当番組はNHKで真っ先にカラー化されたレギュラー番組の1つとなった。しかし全国同時生放送である為、地方での同時カラー生放送化は、電電公社(当時)のテレビの同時中継回線がカラーに対応した高規格化が必要だった為、その整備が整った地域から、カラーで放送される様になった。大阪でも東京と同時にカラー本放送が始まっていたのにも拘らず、1962年6月5日放送回までモノクロ放送だったのは、この為である。
- 番組が生放送であった為、NHKに現存する回は「東おとこに京おんなの巻」(1964年3月3日放送、ゲスト・かしまし娘、大宮敏充他)と「きょうは引越しの巻」(1966年3月15日放送、ゲスト・市村俊幸、由利徹、佐山俊二他)の2本のみであった(いずれもキネコによるモノクロフィルム録画)。この2回分と、1992年(平成4年)にBSスペシャル「青春タイムトラベル」で放送された当時の出演者の対談を収録したDVDが発売されている。
- なお、NHKアーカイブスでは上記の2本とも公開されているが、横浜の放送ライブラリーでは後者しか公開されていない。
- 2020年、新たに第1期の「ドライブ熱の巻」(1957年10月8日放送、ゲスト・上月左知子他)のフィルムが神戸市の民間フィルムアーカイブから発見・提供され、デジタル修復が行われた。この回は現存する最古の映像である(第2期の映像は未発見のままである)。この回では、冒頭で小金馬が挨拶し、テーマ曲の歌詞と曲調が少し違うなど、現存する第3期の映像とは相違点があることも判明した。2020年時点でレギュラーメンバー唯一存命の小金馬(当時は4代目金馬)は本回の映像を見ることができた。
- 三人組のうち、猫八が2001年12月に80歳で、貞鳳が2016年12月に90歳でそれぞれ死去し、最後の存命者となっていた金翁(金馬改め)も2022年8月に93歳で死去したため、全員が鬼籍入りした。
脚注
注釈
出典
外部リンク
- お笑い三人組 〈ラジオ〉 - NHK放送史
- お笑い三人組 〈テレビ〉 - NHK放送史