概要
「飛」字は鳥や昆虫などが空中で活動する飛翔を意味する。小篆の字形は鳥が翼を広げて飛翔する様子に象る。
「蜚」字は「飛」と同音であり、意味もほぼ同義であるが、「蜚」は空飛ぶ昆虫類が本義であり、仮借によって「飛」と同様の意味で使われる。また「飛」字は形容詞として非常に早いさま、声が高いさま、屋根などが高い空中で飛び出したさま、根拠のないさま、思いがけないさまなどを意味する。
偏旁の意符としては飛翔に関することを示す。
飛部はこのような意符を構成要素に持つ漢字を収めるが、多くはなく、JIS漢字では「飛」自身と「飜」のみである。それ以外では「飝」「䬡」「𩙵」「𩙶」「𩙺」など、現代の日常生活ではまず用いられないものばかりである。
中国の簡体字では字形を「⻜」と簡略化するが、飛部の漢字のうち「⻜」の形で用いられている漢字は、2024年現在のUnicodeでは「𬲉」「𮨶」をはじめとする数文字しかない。 現代中国の部首分類法における飛部の扱いについては、中華字海や「GB13000.1字符集漢字部首帰部規範」では残されている一方、辞海の250部首の体系においては削除されている。
部首の通称
- 日本:とぶ
- 韓国:날비부(nal bi bu、とぶ飛部)
- 英米:Radical fly
部首字
飛
- 中古音
- 広韻 - 甫微切、微韻、平声
- 詩韻 - 微韻、平声
- 三十六字母 - 非母
- 現代音
- 普通話 - ピンイン:fēi 注音:ㄈㄟ ウェード式:fei1
- 広東語 - Jyutping:fei1 イェール式:fei1
- 日本語 - 音:ヒ(漢音) 訓:とぶ・とばす
- 朝鮮語 - 音:비(bi) 訓:날(nal、とぶ)
例字
- 飛
- 8:䬡、12:飜(翻→羽部)、18:飝
- 飞