上郷町(かみさとまち)は、長野県下伊那郡にあった町。
飯田市とその飛地である旧座光寺村域に挟まれていたが、合併により飛地状態が解消された。
本項では町制前の名称である上郷村(かみさとむら)についても述べる。
地理
飯田盆地の北西部を占め、木曽山脈(中央アルプス)に連なる野底山がそびえる。町の中心部の標高はおよそ500 mである。
- 川 - 天竜川、野底川
第二次世界大戦前の上郷村は養蚕・織物・染物を中心とする農村であった。戦後の上郷町は飯田市と市街地が連続し、商工業地化・住宅地化が著しく、「飯田のベッドタウン」と称された。飯田市との結びつきが強く、昭和の大合併の際に合併が検討されたが、1955年(昭和30年)当時の上郷村は8,138人と合併後の自治体規模として示された8,000人を超えていたこと、財政上の問題がなかったこと、地方自治の希薄化が懸念されたことから合併を見送った。
歴史
- 1875年(明治8年)1月23日 - 筑摩県伊那郡上黒田村・座光寺村・下黒田村・飯沼村・別府村・南条村が合併して上郷村(第1次)となる。
- 1876年(明治9年)8月21日 - 上郷村が長野県の所属となる。
- 1879年(明治12年)1月4日 - 郡区町村編制法の施行により、上郷村が下伊那郡の所属となる。
- 1881年(明治14年)9月2日 - 上郷村が分割して黒田村・座光寺村・飯沼村・別府村となる(座光寺村は後に単独で自治体を形成)。
- 1889年(明治22年)4月1日 - 町村制の施行により、飯沼村・黒田村・別府村の区域をもって上郷村(第2次)が発足。
- 1956年(昭和31年)9月30日 - 座光寺村が飯田市と飛地合併したことにより、同市とその飛地に挟まれる。これを地元では「ドーナツ合併」と呼んだ。
- 1959年(昭和34年)5月29日 - 上郷村花火工場爆発事故が発生。家屋の全半壊多数。
- 1970年(昭和45年)4月1日 - 上郷村が町制施行して上郷町となる。
- 1993年(平成5年)7月1日 - 飯田市に編入。同日上郷町廃止。
村名の由来
城下町・飯田の上(北)にある郷(村)という意味である。この地域は江戸時代から上郷(かみごう)と呼ばれてきたが、1875年(明治8年)に合併した際に読みを「かみさと」に変更した。
町村長
- 村長
- 北原阿智之助
地域
教育
- 上郷町立上郷小学校
- 上郷町・飯田市中学校組合立高陵中学校
- 長野県飯田高等学校
- 長野県飯田風越高等学校
- 飯田女子高等学校
- 町立上郷図書館
交通
鉄道
- JR東海飯田線
- 伊那上郷駅
道路
- 中央自動車道
- 国道153号(三州街道)
- 長野県道15号飯島飯田線
- 長野県道229号市場桜町線
出身者
- 宮脇倫 - 警察官僚、埼玉県知事
脚注
参考文献
- 是枝英子『知恵の樹を育てる 信州上郷図書館物語』大月書店、1983年10月28日、203頁。 全国書誌番号:84012225
- 上郷史編集委員会 編 編『上郷史』上郷史刊行会、1978年5月1日、1385頁。 NCID BN02926500。
関連項目
- 長野県の廃止市町村一覧