日根郡(ひねぐん)は、かつて和泉国・堺県・大阪府に存在した郡である。
郡域
1880年(明治13年)に行政区画として発足した当時の郡域は、現在の行政区画では概ね以下の区域に相当する。
- 貝塚市(埋立地を除く脇浜、新町、加治、神前、加神、畠中、石才、橋本、王子、地蔵堂、堤、窪田、浦田、澤)
- 泉佐野市
- 泉南市
- 阪南市
- 泉南郡熊取町、田尻町、岬町
歴史
古代
- 716年(霊亀2年) - 和泉監に属す。
- 740年(天平12年) - 再び河内国に属す。
- 757年(天平宝字元年) - 和泉国に属す。
郷
『和名類聚抄』に記される郡内の郷。
- 近義郷
- 賀美郷
- 呼唹郷
- 鳥取郷
式内社
『延喜式』神名帳に記される郡内の式内社。
近世
- 「旧高旧領取調帳」に記載されている明治初年時点での支配は以下の通り。●は村内に寺社領が、○は寺社等の除地(領主から年貢免除の特権を与えられた土地)が存在。(77村)
近代
- 1868年(慶応4年)
- 1月22日 - 新政府が大坂町奉行の管轄地域に大坂鎮台を設置。幕府領・旗本領などを管轄。
- 1月27日 - 大坂鎮台を大坂裁判所に改称。
- 5月2日 - 大坂裁判所が廃止され、大阪府の管轄となる。
- 6月22日 - 大阪府のうち和泉国の管轄地域が分立し、堺県が発足。
- 7月 - 京都守護職役知を堺県に移管。
- 1870年(明治3年)
- 2月 - 土浦藩領、岸和田藩預地が堺県に移管。
- 近江三上藩が吉見村に藩庁を移転して和泉吉見藩となる。
- 1871年(明治4年)
- 7月14日 - 廃藩置県により藩領が岸和田県、吉見県、淀県となる。
- 11月22日 - 第1次府県統合により全域が堺県の管轄となる。
- 1874年(明治7年)1月22日 - 大区小区制の堺県での施行により、和泉国第3大区となる。
- 1880年(明治13年)4月15日 - 郡区町村編制法の堺県での施行により、行政区画としての日根郡が発足。南郡岸和田村の岸和田城内に「岸和田郡役所」が設置され、同郡とともに管轄したが、まもなく「南日根郡役所」に改称。同日大区小区制廃止。
- 1881年(明治14年)2月7日 - 第2次府県統合により大阪府の管轄となる。
- 1884年(明治17年) - 2ヶ所あった中村がそれぞれ岡中村(現・泉南市)、鳥取中村(現・阪南市)に改称。
- 1889年(明治22年)4月1日 - 町村制の施行により、以下の各村が発足。(26村)
- 北近義村 ← 加治村、脇浜村、神前村、畠中村、石才村(現・貝塚市)
- 南近義村 ← 王子村、沢村、浦田村、窪田村、堤村、地蔵堂村、橋本村(現・貝塚市)
- 熊取村 ← 五門村、大久保村、紺屋村、野田村、七山村、久保村、小谷村、小垣内村(現・泉南郡熊取町)
- 北中通村 ← 鶴原村、上瓦屋村、下瓦屋村、中庄村(現・泉佐野市)
- 佐野村(単独村制。現・泉佐野市)
- 日根野村 ← 日根野村、俵屋新田(現・泉佐野市)
- 長滝村(単独村制。現・泉佐野市)
- 上之郷村(単独村制。現・泉佐野市)
- 南中通村 ← 安松村、岡本村、樫井村(現・泉佐野市)
- 大土村 ← 土丸村、大木村(現・泉佐野市)
- 田尻村 ← 吉見村、嘉祥寺村(現・泉南郡田尻町)
- 新家村 ← 新家村、別所村、兎田村(現・泉南市)
- 東信達村 ← 金熊寺村、六尾村、楠畑村、童子畑村、葛畑村(現・泉南市)
- 北信達村 ← 市場村、大苗代村、牧野村、岡中村(現・泉南市)
- 西信達村 ← 岡田村、北野村、中小路村(現・泉南市)
- 鳴滝村(単独村制。現・泉南市)
- 樽井村(単独村制。現・泉南市)
- 雄信達村 ← 男里村、幡代村、馬場村(現・泉南市)
- 尾崎村(単独村制。現・阪南市)
- 東鳥取村 ← 石田村、黒田村、下出村、鳥取中村、自然田村、桑畑村、山中村(現・阪南市)
- 西鳥取村 ← 波有手村、新村(現・阪南市)
- 下荘村 ← 箱作村、舞村、貝掛村、山中新田(現・阪南市)
- 淡輪村(単独村制。現・泉南郡岬町)
- 深日村(単独村制。現・泉南郡岬町)
- 孝子村(単独村制。現・泉南郡岬町)
- 多奈川村 ← 谷川村、東畑村、西畑村、小島村(現・泉南郡岬町)
- 1896年(明治29年)4月1日 - 郡制の施行により、南郡・日根郡の区域をもって泉南郡を設置。同日日根郡廃止。
行政
- 岸和田郡長→堺県南・日根郡長
- 大阪府南・日根郡長
参考文献
- 角川日本地名大辞典 27 大阪府
- 旧高旧領取調帳データベース
- 大阪府全誌 巻一
脚注
関連項目
- 消滅した郡の一覧