シロバナノヘビイチゴ(白花の蛇苺・白花蛇苺、学名: Fragaria nipponica )は、バラ科オランダイチゴ属の多年草。別名、モリイチゴ、ヤクシマシロバナヘビイチゴ。

分布と生育環境

日本では、本州の東北地方南部から中部地方まで、および屋久島に分布する。山地帯から高山帯下部の、日当たりの良い深山の高原や草地に自生する。アジアでは、済州島、樺太に分布する。

特徴

多年生の草本。高さは10 - 30センチメートル (cm) 。根茎は肥厚し、枝はよく分枝し、長い匍匐枝を伸ばし、地をはう。

葉は根生して叢生し、長い葉柄をもった三出複葉で3小葉からなる。小葉は倒卵形から長楕円形で長さ2 - 4 cm、各小葉は側脈が目立ち、縁には鋭い鋸歯があり、裏面には伏毛がある。葉柄と花茎に開出毛がある。

花期は5 - 7月。株の中心から1本の長い花茎を出し、細い花茎の先端に白い5弁の花を少数つける。小花柄の毛はやや斜上し、果時には湾曲して下向きに果実(果床)をつける。花は白色で径15 - 20ミリメートル (mm) 、円い花弁は5個で、萼片、副顎片も5個になる。雄蕊は黄色で長さ3 - 4 mmになる。花後は花托が大きく膨らみ、径1 cmの球形から卵形の偽果(集合果)となって赤熟し、食用になる。

食用

赤く熟した集合果(偽果)を生食する。一般に広く栽培されているイチゴ(オランダイチゴ)に近い種であり、食味はおいしいと評される。実は小さいため、数多く採取しないと量を得るのはむずかしいが、ジャムや果実酒に加工してもよいといわれている。

脚注

参考文献

  • 高橋秀男監修 田中つとむ・松原渓著『日本の山菜』学習研究社〈フィールドベスト図鑑13〉、2003年4月1日、169頁。ISBN 4-05-401881-5。 
  • 佐竹義輔・大井次三郎・北村四郎ほか編『日本の野生植物 草本II 離弁花類』平凡社、1982年。
  • 豊国秀夫編『山溪カラー名鑑 日本の高山植物』山と溪谷社、1988年。
  • 米倉浩司・梶田忠 (2003-)「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)

シロバナノヘビイチゴ(白花の蛇苺)

四季の山野草(シロバナノヘビイチゴ)

シロバナノヘビイチゴ

シロバナノヘビイチゴ 日本まるごと生き物図鑑

シロバナノヘビイチゴ 山菜図鑑